84 帰還
2017.7.1 大幅修正 指摘者(人工知能 他)
太閤の寝室では、今日も嬌声が響き渡る。
「いや、もうお許しください。少し休ませて」
「ほほう、こんなにそちのあそこは潤んでおるではないか。遠慮せず、極楽浄土に参れ!は、はう。こうかぁ!」
太閤の腰は、残像を残して三重にかすれて見える。宿直の者は唖然として忘我の境地で天女が獣に犯される様を眺めるしかなかった。
「うっ、あはぁー」
加藤茶阿は、できる限り媚態を太閤秀吉に見せつけていた。無論、並みの男以上の精力を誇る太閤に夜ごと求められ身体的には疲労が蓄積していたが。長年、思い続けた男の精を今は独占できる、例えそれが自分の憧れた男の過去の部分だとしても。茶阿の女の論理は幸せを追求すべし、つまり現状を任務の許す限り楽しむと覚悟を決めていた。
だから、現状歓喜に咽ぶのも半ば演技では無かった。
「茶阿よ、まこと良い尻をしておる、わしの子を孕んだら栄達も思うが儘よ」
「ああ、太閤様。私は、何もいりませぬ、ただ二人の時間をいつまでも、幾久しく添い遂げとうございます」
「おお、うい奴よのう」
二人は、深い眠りについた。
宿直の者も、熱い情事に当てられ不覚にも眠りに落ちてしまった。
「ネコさん、データを送りますね。あと、ジョージさんのこと頼みますね、私は今彼の元を離れていますから。頼れるのは、ネコさんしかいませんもの!」
茶阿は、強い思念を込めて現代にいるはずのネコこと、Zライダーに今まで調べた秀吉の思惑や戦略、その他主要な家臣のデータを送信していた。
「ふう、あのお年でここまで情熱家とは、秀吉さま。私の見込んだ殿方ですわ、流石に連夜の深い情交の数々私でも腰がふら付くことがあるほどに。まさに、女たらし太閤ですわね」
ああ、まだ中にあれが入っているようだわ。今日もぐっすり眠れそうね。
マスタに早く知らせねば。ネコは焦っていた。
マリアの部屋には本人とジョージしかいなかった。
「ジョージ、また辛い道を行くのね。でも、覚えておいて私、マリア・アトワ-レはどんなことがあっても、あなたの味方だということを」
現代からの通信が入ったことを示すインジケータがマントの中で何度も点滅していた。
ちゅっ、館が朝日が差し込む頃、マリアは愛する息子のために食事の支度をしにベッドから抜け出した。
ふぁー、あ。
お、五月蠅いと思ったらスマフォが着信を知らせて鳴動していた。
「やや、マスタ、やっと気づいて貰えましたね。」
「何だ、ネコ。しばらく会わないうちにブクブク太って、婿の貰い手がないんじゃないか?」
「マスタ、奴らが。すぐそこに近付いています。避難の要有り、解析の結果太閤の今後の動向、御家人等の手下においても、基本放置の方向で構いません。すぐさま、現代に帰還されたし。現在入手可能なデータから類推すると、未来の危機は解消された可能性が99.999パーセントです」
「そうか、ネコ。ご苦労だった。でも、そんなに慌てる必要もあるまい。この辺の田舎を探索したい」
「駄目です、マスタ。明日になれば、奴らは茶阿様や周辺住民を人質にとってもマスタたちの捕獲に向かうはずです」
「そうか、残念だが荷物をまとめるか」
「ああ、そうだ。茶阿さんにも連絡してくれるか?」
「既に連絡済みです、既にこちらに向かわれています。
「お待たせ。もう少しここで、一生を女のアクセサリ止まりで過ごす蛙に、本物の捕まえ方を教えてあげようと思っていたのになあ。あの宿直の子、ちょっと可愛かったなあ」
朝食を摂り終え、静かにマリアを抱きしめるとジョージは宣言した。
「帰還するぞ!」
「ネコ!」
「はい、マスタ」」
「アテンション、五秒前、3、2、1、ゴゥ!」
俺たちは、八百メートルほど上空に浮かぶ虹の門へと浮遊したかと思うと一気に加速して飛び込んだ。
現代に戻ってきた。
「クールダウンしろ」
「了解」
「お帰えりなさい、マスタ、ジョージ殿」
「早速だが、誰かブリーフィング資料を頼む」