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78 評定

久々登場のヒロインは?

2017.6.24 誤字修正、表現修正

 大坂城では、前の関ヶ原の戦いについて戦評定が行なわれていた。


「次、島左近殿 十万石の加増」

「小早川秀秋殿 五万石加増」

「真田幸村殿 三万石加増」

「福島正則殿 一万石加増」

「藤堂高虎殿 一万石加増」

 ほう、流石は秀吉様は太っ腹じゃわい。

 やはり、太閤殿はよく見ておられるのう。

 これでのうては、太閤様は懐が深い。


「徳川秀忠殿 この度の演習開始への遅刻甚だ遺憾であるゆえ領地召し上げのうえ沙汰があるまで上杉殿の身柄預かりとする」

「此の度の関ヶ原演習での評定はこれにて仕舞いじゃ、皆のもの何か申すことはあるか?」


 こ、これは、ちと厳しいのう。

 いや、これでも恩情深い処置よ。

 秀忠殿は、とんだ貧乏くじを引かれたのう。



 秀忠の処置については、ことの外厳しいものであったが関ヶ原の戦いが、内乱では無く実戦さながらの軍事演習であるということを内外に示す為のものでもあった。

また、今回東軍に加わった武将について、石田三成に逆らっただけであり豊臣家に弓引くものではなかったことを居並ぶ武将達に暗に示したものである。


 くっ、何故こうなった?評定を聞き流しながら徳川家康はあの悪夢を思い出していた。


「えーい、鉄砲隊続けて撃て、大砲早くあの化け物めに思い知らせてやれ!」

徳川家康は、狂ったように葵の紋を配した采配を振るった。

だが、鉄砲も大砲の弾ですら巨人石田三成には効かず、針の先ほどの傷も付けらなかった。


巨人三成が槍を払うと、東軍の兵士が数百のオーダーで吹っ飛ぶ。足下に転がっていた大砲の弾を蹴り飛ばすと家康の本陣を守る者たちを三百、いや五百人ほどの手足のどこか欠けた集団へと変じさせた。


「殿、お逃げなされい。此の度の戦もはやこれまで!」

「何を言うか本多忠勝、三成がごとくに三河武士が背を向けられるか」

家康は駄駄を捏ねていた。己が理解できぬ理不尽なまでの巨大な力に翻弄されていた。


「ああ、ああ。家康を此処で死なせる訳にも行くまい。テスタあの巨人を何とかして来い!」

俺は、ティーガーの隣で焦ったそうにしていた赤いドレスを纏った女に命じた。

「ふふふ、やっと。遂にわたしの出番ね。ご主人さま、テスタロッサ行きます!」


紅い施風が関ヶ原に舞う。丁度、本多忠勝の名槍「蜻蛉切」を叩き折って家康の首を取ろうと一歩踏み出したところへ。

「やあっ」

 盛大に土埃が舞う、女の華奢な脚が巨人三成の顔面に炸裂した。

「うっ」

大砲や、鉄砲の弾をあれほど受けてもびくともしなかった三成が初めてよろめいた。


戦場を駆け巡り先程、跳び蹴りを決めて着地した美女。何故かその身にまとう地面に裾が着くような紅いドレスには土埃一つ付いていなかった。

「タッチー、やっぱいい腕してるわ」


「何奴?ええい、どけ。豊臣の為、日本の為なら内府は討たねばならぬ。退かぬなら女子とて容赦せぬ」

「こっちの苦しい事情も知らずに。ご主人様の命により、此処は邪魔させてもらうわ。あ、わたしはテスタよ」


 巨人三成の槍が、三度突かれそしてその攻撃は、全てテスタに躱された。

 テスタの回し蹴りが三成の足を打つ。

「くう」

 三成が膝を着く、そこへパンチが襲う。

 三成の頭が揺れる。

 キックが、パンチが雨のように三成を襲う。

 


 家康は、悪夢を追うのをやめた。

 その時、大坂城の評定の間に声が響く。


「ふ、女には百万石出す癖に案外、太閤と言ってもケチなものだな」

「何を言う、無礼者!」


「さあて、いつまで偉そうにしていられるかな?」

 嘲笑うかのような声とともに一陣の風が吹いた跡には、漆黒のマントを纏った一人の魔導師が立っていた。


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