73 尋問
ちょこっと、エロいですかね。
首尾よく、敵の騎馬武者を十名ほど捕虜にした俺は館に戻ると、さっそく情報取集にあたることにした。
やはり、こういうことは適材適所だよな。
「悪い、玲子ちゃん。捕虜の尋問を頼む、よろしくな。できるだけこちらの正体を知られないように相手の陣営と戦力とか大将の周囲に変な奴がいないかを重点的にね。俺がやるとちょっと悲惨なことになるからさ」
もう、しょうがないわね。何か、玲子ちゃんの心の声が聞こえたような。はは、は。
「わかったわ、でも見た目は変わらないけど精神的には私が尋問した方が酷いことになるかもね。ま、この時代のサムライは骨がありそうだから楽しみね。ふふ、魔法世界に流れ着いたサムライの耐久力、見せてもらうわ」
妖しい微笑みを浮かべて、西城斎酒は館の外側に配置された家来たちの住居の端にある、たまに臨時雇いの傭兵などを寝起きさせる施設に向かった。部屋は二十ほどあるので、捕虜を一人ずつ隔離するには打ってつけであった。小隊にいた戸締りの魔法が得意な者が各戸のドアを封鎖していた。
見張りの者に一時的に魔法を解除させ、外部に音が漏れないように自ら魔法を掛けると西城斎酒は一人で入って行った。
丁寧にお辞儀してから斎酒は、捧げ持った茶碗に入れた水を武者に差し出した。
「これは、かたじけない。女、その方は狐か、はたまた魑魅魍魎の類か。あの怪しげな術は何だ。まあ、そんなことより、よく見るとその方、まあ、何と美しい。ますます、妖狐がばけておるやも知れぬ」
「まあ、狐か狸かは置きますが。お褒めにあずかり光栄ですわ。さぞかし、名のある武将であられましょう。どうか、御名を聞かせてはくれませぬか?」
「ここでは、お話もしずろうございます。ささ、あちらへ」
武者が斎酒の指す方へ顔を向けると其処には襖があった。
「さあ、いらして」
斎酒が襖を開けると、目に鮮やかな赤の布団が延べられいた。
「ああ、待ちきれませぬ。ささ。ほう、引き締まったお身体ですね」
斎酒は、音もなく衣服を脱ぐと妖しい肉体を惜しげなく武者に披露した。
「おお、天女様もかくのごとし。拙者は、・・・と申す者。お主をを抱くぞ」
「はい、うれしゅうございます。・・・殿、愛しいお方」
武者は、忘我の時を斎酒の肉体を貪ることに費やした。
「おお、なんたる甘美、なんたる愉悦!」
しばらくすると、斎酒は一人静かに独房から出てきた。その顔には先ほどの情事の欠片すら想像できぬほど澄ました顔で。
「ふふ、あと九人の被検体が。ああ、ここでこんなにサンプルを集められるなんて。思ってもみなかったわ。でも、いろいろとXYZ製薬から持ってきて良かったわ」
こつ、こつっ。わずかに踵の立てる音が神経に響く。ふ、やっと正体不明の敵が拝めるのか?しかし、音からするとずいぶん小柄そうだな。まさか給仕の為に子供が来たというのか?この金吾も軽く見られたものよのう。
ふう、最後の十人目ね。確か、一番鎧とかの装飾が派手で若そうな武者だった気がするけれど。何者かしらね。
「粗茶でございます。」
斎酒は、落ち着いた女中のような雰囲気で和の作法に則り正座して三つ指をついてから若い武者にお茶を給仕した。
「ほう、忝い。喉が渇いて仕方なかったところよ。ところで、そなたまことに美しいのう。このような無粋な真似はやめて、俺の妾にならぬか?」
会って五秒で口説くとは、なかなかのプレーボーイね。テクニックに期待が持てそうね。
「お戯れを、もし本気でしたら。お名前を頂戴しとうございます。わたくしは、ゆきと申します」
「ふふ、金吾じゃ。いや、朝鮮で戦うておる頃からは、秀秋と名乗っておる。秀秋と覚えよ。まあ、褥の上ではお主の好きなように呼ぶが良いぞ!」
これは、私にとってもジョージ君にとっても幸先良いわね。大物が網に掛ったわ。
「ほほ、承りました。では、閨の手管、とくとお試しくだされ」
斎酒は、奥の襖を開けると、きらびやかな赤い布団へ金吾改め秀秋を誘うのであった。




