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66 妄執

2017.5.4 誤記修正

「ティーガーさん、どうかいたしまして?」

 西城斎酒ゆきは、小首をかしげてティーカップを持ったまま固まったティーガーに不審な目を向けた。

「う、マスターが危ない。身の危険じゃなくて、恋愛的な意味で。でも、ここはマスターの実家だし。戦闘力二千未満の雑魚しかいないから、一人を除いて。でもあれは、お母さまだし心配し過ぎですかね」

 ティーガーは、自嘲気味に笑った。が、ティーガーの首に揺れる胡桃大の宝玉に収まったミニカーが赤い光を放ち騒ぎ出す。その形は、往年のイタリアンカーのようだ

「ティーガー、そりゃ大変だぞ。ご主人様を助けねば!早くあたしを開放しろ!」


「お茶の時間よ、騒がしい子は罰として眺めるだけにしなさい。さ、異世界のお菓子を頂きましょう、ティーガーさん。なかなか、勉強になりそうだわ。それにジョージ様とお母さまに限って間違いを起こすはずがありませんわ」

 なぜか、斎酒のカップは小刻みに震えていた。


「ところで母さん、最近妙なことは起こっていないか?俺は転移した世界から過去に戻って歴史の修正を行おうとしていたんだが、望まずにこの世界に跳ばされて来たんだ。」

 俺は、ベッドでマリアの胸を揉みながら尋ねた。

「そうね、ふぅ、気持ちいいー。少し離れた場所に馬に乗った異国の兵士が多数集まって来ているけど。魔力を感じないから雑魚ね、数は多いけど放っておいても問題なしよ。ああーっ。そこ、いいぃー」

「ふふ、なんか暫く見ない間に可愛くなっちゃって。母さんもう少し下の方も揉んだ方がいいかい?」

「ああん、ジョージ。マ、マリアと呼びなさい。生意気言って、うん、お願いうずくのよ腰のあたりが」

「わかった、マリア。でも、あんまり腰を抜かすなよ。ふっ」


ふう、親孝行も大変だ三度ほど絶頂を極めたらようやく休憩解放された。まあ、変なチョッカイを出されるよりは先に中に吐き出した方が案外上手く行くんだろうぜ、世の中は?


 ほう、これはなかなか。面白い具合になって来ておるな。やはり、この妖精の女王に掛かれば少し位魔力の力の強い人間など操るのにさほど苦労はせぬな。さて、積年の恨みをマリア親子で晴らさせて貰おうか。

 この館の主の部屋の窓を除く、小さな羽虫のような、いや、人間に薄い羽の生えた小人の姿を取り巻くように薄暗い邪気のようなものが蜃気楼のように揺らめいていた。


え?

急に固まったかと思うと、全速力で駆け出したティーガーを見送り、若いって良いわねと思わず苦笑する、斎酒であった。

 ティーガーは、焦っていた。己の一番大切なものが汚されようとしていることになぜか突然気づかされ、衝動的にティーカップを投げ出すと全速力で掛けていた。



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