64 故郷
お待たせしました。
2017.4.27 誤字修正
黒い三角帽子を被った美人さんがおかしそうに笑う。
「それは、たまには大好きな人とペアルックで旅したいじゃない。せっかくの長旅だし、いろいろ思い出も作りたいからね」
たしかに俺も愛用の漆黒のローブを身に付けているが、何年も使っているためもはや身体の一部として認識している。このため意識に無かったが、改めて言われると俺も普通に魔法使いの恰好だと気づかされる。
「玲子ちゃん、そのローブよく似合っているよ。だけど、ここは想定していた世界じゃないかも知れないから気を付けてね」
「ふふ、ありがとう」
西城斎酒は、黒地にラメの入ったローブをひらひらさせながら優雅にターンを決めた。
ジャキーン、「マスター、とりあえず付近を制圧しますか?」
肩まで伸ばした銀髪を揺らすと、どこから出したのかアサルトライフルを構える少女が聞いてきた。右目の義眼が赤く輝いている。無表情な顔だが何故か怒りが見えているのはなぜだろう。
「まだだティーガー、とりあえず話を聞こう。ファーストコンタクトから修羅場にはするな」
「はい、マスター」
とりあえず、俺たちは目に付いた泉に近付いていった。さて、友好に話が聞けるか武器に物を言わせるか、どっちだ?
俺たちが、泉の前に来ると好奇心旺盛な羽の生えた小人が近付いてきた。うーむ、こうしてみると美形だなあ、羽は透明でウスバカゲロウのようだ、髪は金髪で日差しを受けて羽と髪が神々しいばかりだ。
「あのー、あなたはもしかして、魔法貴族の方ですか?なんだかマリア様の魔力と雰囲気が似ているみたい」
うん?魔法貴族、確かにそう呼ばれる家に転生したが、まさかね。
「はじめまして、俺はジョージ。まさか君が言っているのは、マリア・アトワーレのことかい?」
「あ、まだ名乗っていませんでしたね、失礼しました。わたくしは、妖精族のパフェールと申します。やはりアトワーレ家の方ですのね」
「ああ、その名は捨てたが、確かにマリア・アトワーレは俺の母親だ。こっち玲子ちゃん、そしてティーガー、でこいつはネコだ。俺たちは訳があって旅をしているがここはいったい」
「え、御存知ないのですか?ここはジョージ様が生まれた国ではないですか。ほら、あちらの彼方にはアトワーレ様の館が見えるではありませんか。折角ですから、私もお供します、久しぶりにマリア様にご挨拶もしたいですし」
「うん、とりあえずよろしくな、パフェールさん」
俺は混乱したまま、ネコを睨んだ。
「マスタ、再計算しましたが確かに1600年の日本です。ただし、マスタの故郷と時空が重なっている可能性が高いです。はっきり言ってここで過去を変革して日本の未来が変更できるかは未知数です」
「だが、やるしかあるまい。皆の未来のために」
「ほら、難しいことはあとで、早くマリア様の所に行きましょ」
パフェールの笑顔に促されて俺たちは、彼方の館を目指す。ふう、どんな顔で会えばいいのやら。




