61 週末の世界3
2017.3.13 テスタのセリフ修正
「うわー!」
ブラックホールに突入した俺たちは、過去と未来が同時に存在する状態に精神が耐え切れず意識を失った。
う、ううん。俺が意識を取り戻すと、銀色に輝くカプセルの蓋が自動的に開いた。俺は周囲を見回すと銀色のカプセルは一つを除いて全て蓋が開いており、周りには誰も居なかった。
プシュー。最後のカプセルの蓋が開いた。俺は、誰が一番の寝坊助か気になって最後に開いたカプセルに近付いた。
カプセルの中には、赤いドレスを着た金髪の女性が静かに横たわっていた。近くで見ても胸が一ミリも動いておらず、心臓の鼓動も聞こえない。
「確か、眠りから覚めないお姫様には目覚めのキスが必要だとか。やれやれ」
俺は、瑞々しい唇に自身のを重ねる。ようやく金髪の女性が目を開いた。
「ふ、なんの冗談だ。わざわざ、スリーピングモードに切替えて呼吸や心臓を止めてまで、お姫様ごっこか?」
「あ、やっぱりご主人様は気づいていたわよね。でも、たまにはいいでしょ。こういうのも」
当然、使い魔の状況は俺には判る訳で、この状況を観察している誰かの動向を窺うつもりでテスタの悪ふざけに便乗した。
「ジョージ殿、ご苦労であった。他の者は既に目覚めてそれぞれの部屋で休んでいるので、安心されよ」
「ああ、秀吉さん。未来はやばいことになっている。本気で修正する必要があるよ、まあ詳細な話は明日でいいだろ?」
「うむ、苦しゅうない。下がって良いぞ」
テスタと連れ立って展望台のレストランで食事を済ませた後、俺は割り当てられた部屋に入った。
ベッドには、目を閉じたテスタがシーツにくるまって横たわっていた。
「ふっ、さっきの続きだな」
俺はテスタに覆いかぶさると、情熱的に唇を貪った。