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54 終末の世界3

2017.2.15 タイトル№ 誤記修正

 ぽん、ぽぽん。どこかからともなく、小堤と笛の音が響く。

 空飛ぶ円盤(UFO)から地上へ延びる光の筒を滑り降りて大地に立つ、人影ひとつ。

 「人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。スモモンガー参上!」

 「え、演歌?渋いわね」

 テスタが小堤に合わせて、ポンと手を打つ。でもテスタ、それ違うよ。まあ、イタリアン娘に違いは判らないかもなあ。


 スパンコールを散りばめたドレスを着た美女がスポットライトを浴びて現れた。切れ長の瞳や美しい鼻筋がベネチアンマスクを装着していても美貌が透けている。そして、美女の周りには美しい無数の蝶が飛び回っている。って、スモモンガー再び?

 極冠の地に降り立つ、スモモンガーこと南条由紀さんは、色者みたいだがこう見えて、筑波バイオ研究所の所長さんだ。しかし、背中の開いたドレスとか寒くないのかなあ由紀さんは。


「ネコ、今何度だ?」

「マスタ、現在の外気温はマイナス35度、バナナで釘が打てますよ。ま、バナナなんてこの辺には無いですけどね」


「南条由紀さん、久しぶり。でも、そんな薄着で寒くないですか?色っぽいけどさあ」

「ふふ、ジョージ様。女は美しくあるためには氷点下でも、手は抜けませんわ。それに、我がバイ研で開発したこのベネチアンマスクは光を糧にエネルギーを生成できますの。その他に、私の周りを飛んでいる蝶たちも放射線を始め人間にとって有害な物質を除去すると同時にエネルギーを発生させる効果があります。だから、極冠の地でも薄着で活動できるんです」

 由紀さんは、誇らしそうな自慢げな態度で俺に説明してくれた。気づくと、由紀さんの周囲で蝶が眩しく発行している。


「そして、水戸でジョージ様、あなたに頂いた遺伝子が私と融合したことにより、別次元の高効率システムへと進化しました。本当に、あの時の英断、ありがとうございました。この世界の人類は滅びかけておりますが、ジョージ様と私で新たな世界を作っていきましょう!」

「何を勝手なこと言っちゃってるの。ご主人様と世界を気付くのは私よ。ご主人さまと私こそが、人類の新たな希望よ」

 なんだか、テスタの変なスイッチが入ってしまったようだ。


「口でほざいても始まらないわ、世紀末の世では、力が全てよ。大事なものが欲しければ、私と戦いなさい!」

 由紀さんが、大地を踏みしめ構えをとった。

「ふっ、力でしか測れないようではまだまだよ。でも、相手してあげるわ。私とご主人様の前に立ちはだかる壁は全力でぶっ潰す!」

 テスタが、ボクシングスタイルで構える、唸る12気筒サウンドが極寒の地に轟く。

「う、ネコっ。どっちが勝つと思う?」

「テスタは、380馬力。対する南条由紀は、いや、スモモンガーはマスタの遺伝子を受け継ぐ未知数の戦力!もう、どちらが勝っても不思議ではないです。それより、マスタはどっちが好みですか?清楚な大和なでしこ?それとも、イタリアンビューティー?」

 うーん、どっちも捨てがたい。これは勝負の行方に大注目だ。


 南条由紀が、テスタに向かって走り寄る。テスタの右ストレートと、由紀の鋭い回し蹴りが激突する。腹に響く轟音が鳴り響き、氷が舞い散る。


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