43 理由
20170125 誤字修正
部屋の主は、西城斎酒と名乗った。
「でもねえ、ジョージには玲子ちゃんて呼ばれていたかな。だから別に玲子でもいいわよ」
玲子ちゃん、西城斎酒と名乗る女性が、秘書がワゴンで運んできたスイーツを俺たちにを勧める。
俺たちの前には、コーヒーと大阪城があった。
「これ、自信作よ。さあ、食べて。」
石垣の一つ一つは、スポンジケーキにホワイトチョコでコーティングされたもののようだ。天守閣にはちゃんと鯱が飾られている。
「美味いよ、玲子ちゃん。いつ、店を出してもやってけるね。いや、失礼なんだか懐かしくなって。でもこの鯱、マジ美味いよ。クッキーで形作られた鯱の中に、名古屋コーチンのボンジリが甘くなった口の中をきっちり、締めてくれる。なんだか、君と逢ったことがあるみたいな気がしてきたよ」
「ありがとう、でも、心配しないで。あなたが覚えていなくても、私は覚えているから。私ね、全部覚えているの。本当に、全部よ、何もかも、嬉しいことも。悲しいことも恐ろしいことも、全部」
西城斎酒は、少し寂し気に笑った。
「あー、あんまり懐かしくて、皆さんに今の私の立場をお話ししていなかったわね。私は、西城斎酒。尾張徳川の現当主、あと、XYZ製薬の社長もやっているわ。そして、私には不思議な力?いえ、もうこれは、呪いね。
ジョージは覚えてないでしょうけど、あの二十一世紀から私は過去に転生してから。私は、死ぬ前の記憶を持って生まれ変わるの。もう、何回も何回も生まれ変わっているわ、そうね、多分千年以上は覚えているは、奈良の大仏の建立のとき、私もあそこで働いていたから、確かね。」
うー、確か大仏は何回か焼失して再建されたが最初の建立は、8世紀だからざっと千二百から千三百年というところか、ご苦労なこった。
「それで、過去の知識を使って富を得たのか?」
「まあ、ある程度までは、順調だったわ。関ヶ原までは、順風満帆だったわ。でも、あの秀吉が歴史をひっくり返したのよ」




