3 使い魔
やっと、使い魔登場
2017.1.2 章管理導入に伴い改稿
「おかしい、何でぶっちぎれないのよー!」
ここは、首都高(通称ね、本当は大阪環状高速道路なんだけど誰もそんな長い名称使わないわ。設計速度時速三00キロメートルのわが国自慢の道路だ。)、制限速度なんてヤボなもんはない。
「五速全開!」
なので、イタリア生まれの私はご機嫌な十二気筒サウンドを奏でいた。やっぱ先週のメンテで絶好調だわ。三八0馬力は伊達じゃない、アベレージ二八0キロ、アクセルベタ踏みであいつをぶっちぎろうとしている。
なのに、あいつはバックミラーから離れないの?
「嘘 !ぬ、抜かれた!!」
「そろそろ、三分だな。この脇道へ入れ!」
左のウインカーを付けて私はパーキングエリアに止まった。悔しい、一度あいつに抜かれてから一度も抜き返せなかった。それどころか、並ぶこともできなかった。
ただの人にしか見えない黒いマントをはためかせた、あいつに。
今の私は心が折れてしまった、跳ね馬のエンブレムが負け犬のように、うなだれて見える。
黒いマントをはためかせて、あいつが立っている。
「行かなくちゃ、主のもとへ」私は、あいつのもとへ駆け寄った。
さて、この世界について訪ねる前に。
「お前の名を聞こうか、赤い馬なし馬車よ?」
「わたしは、イタリア生まれのテスタロッサ」
「ならば、今日からお前は我の使い魔、テスタだ。」
一瞬、眩い光が私を包むと、赤く輝くボディーは、赤い服を纏った若い金髪の人間の女性の姿に変わった。な、何で私、人間になっちゃったの?