33 水戸
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はー。今度は茨木か、納豆が上手いらしいが、日本では不遇の食材だ。その分輸出がすごいが。まあその辺は、他人の金で旅行できるんだから文句は言うまい、ポジティブシンキングさ。
「で、水戸徳川は、徳川光圀のクローン再生を行い、天下の転覆を狙っているみたいよ」相変わらず、茶系統のスーツ、柄は毎回違うが俺には正直違いとか意味がわからないで極めた茶阿さんが秀吉さんの指令を解説してくれている。しかい、カエルが飛び跳ねてるとか、カエルが相撲とっているとか、ともかくカエル柄の出現率は半端ないけどなんでだろ、怖いから聞かないけど。女は秘密と共にある暴くもんじゃない。
「ところで、テスタとティーガーは元気かい?点検に預けて三日経つけどさあ?」俺は、さして興味がなさそうに聞いてみた。
「そんな、ついでみたいに聞かなくても心配なのは判るわ。大丈夫、うちの優秀なスタッフがメンテナンスしているわ、今のところ異常なしとのことよ」なんでも、今日の午後にはスタッフが送り返してくれるそうだ。
「よかったよ、アスラだけじゃベッドが広くて落ち着かなかったんだ」
「あら、いつでも私を呼んでくれていいのに」微笑む姿に、鋭い色気がにじみ出ている、戯れに手を出すのは今の俺にはハードル高いな、残念だが。
「じゃ、明日の朝合流して、水戸に立つということでいいんだな?」
「ええ、結構よ、じゃ。またね」あっさりと、引き際が水際立っている。もう少しいると俺の方がよろめきそうだった。
翌朝、大阪駅で落ち合った俺たちは、リニアモーターカーで水戸駅に向かおうと思ったがそもそもリニアの停車駅が無かったので、テスタとティーガーに分乗して高速道路で水戸に入った。
水戸駅の北側に目的の水戸城がある。秀吉さんの方針では、できるだけ敵勢力の本拠地は残存させる方針だそうだ。下手に地下に潜らせるよりは、本拠に足止めさせた方が政府側として都合がいいとか。全て、優秀ガイドの茶阿さんの受け売りだ。
「とりあえず、市内のホテルに宿をとるか。それでいいな、みんな?」
「うん、ご主人様が「マスターが「お主がよければそれで」三人ほぼ同時に即決で答えてくれた。なので、一番でかそうなホテルに宿をとった。