21 片鱗
諸説ありますが、独自解釈です。
「さあ、何だか、ビリビリ感じてきたぜ。嬢ちゃんの馬鹿力には恐れ入るが、俺の風の要塞は突き破れないようだな」
「また弥八の悪い癖が、しょうがない奴だ。あれがなければ何処でも超一流の忍なのに、惜しいのう」
徳子が嘆くとおり、弥八には秀吉さんも以前目を付けて隠密にとスカウトしたらしいが、相手が気に入るとその潜在能力すべて出し尽くすまで止めを刺さない変な癖を知り興味を失ったそうだ。
確かに、秀吉さんならアマチュアを嫌いそうだ。俺なら面白がれるが、あの人には日本を守る、途方もない重圧があるから。
「そら、そら、そらっ!」三方から竜巻が、ティーガーに迫る。逃げ道は後ろしかない、下がるティーガー。
ピカッ、ドガーン! 稲光がティーガーを下から突き抜けた。下がるしかない、ティーガーの後方には罠が仕掛けられていた。
「うっ」ビクンッ。一瞬全身を痙攣させるとティーガーは動かなくなった。
「あっ、ティーガーちゃん!」今度は、俺が茶阿を止める番だった。
「離して、ティーガーちゃんが」
「ふっ、さてと。機関銃の姉ちゃんは、沈黙と。ちょっと尋問しなきゃあなあ。お前の目的は、ああ、柔けえなあ」弥八は、破けた服の胸の辺りをおどけながら揉みしだく。
「お嬢よりは、大きいや」見え見えの挑発だが、目が全然笑ってないので誰も釣られない。ポカっ。味方から殴られてやがる。
「あの太刀筋、柳生新影流ですね。流派自体はそこらの道場剣道のちょっとデラックス版で、普通大したことないですが彼女の腕はなかなか油断できませんよ」ガイドモードに戻った、茶阿さんが冷静に解説してくれる。
「お嬢、戦闘中に突っ込みは、無しですよ。それに、太刀筋見られてるし」
「問題ない、私の剣は活人剣さ。敵を殺めるのは、おじいさま直伝の毒術よ!」
「関東の漫才は、笑えない」無表情で、ティーガーが再起動した。