20 激突
PC調子悪くて、痺れます
御所の近くの茶店を出た俺たちは、茶阿さんの案内で、ある神社に向かった。
その間、ティーガーは終始無口で茶阿さんに頭を撫でられたり、髪を弄られたりしていたが笑顔は見られなかった。
名も知らない神社に、この大阪の優秀なガイドが神社の名前を知らない(いや、探れないのか?)ことが、尋常ではない畏れを抱かせている。
境内の長い石段を登った所に、映像で見た少年がいた。さっきとは違い白衣に緋袴を着ていた。この国の古い神官の衣装だが、黒髪をおかっぱにしているため巫女さんには見えない。
「竹林で、俺たちを待ち伏せして襲ったのはおまえの差し金か?、少年!」振り向いた巫女装束の少年に昨日の凶行を問うた。
「失礼な奴だね、ま、大阪に礼儀を求めても仕様がないから答えてあげるよ、知らないね。それと、私は女だよ!」徳子は、目に力を込めて答えた。
「テスタの敵、逃さない!」ティーガーが、右眼を銀色に輝かせて機関銃を構えた。
「神社で機関銃振り回すとか、大阪はやることが派手だねえ」人の背丈程の旋風が砂を舞い上げ、機関銃と徳子の間に黒スーツの男が現れた。
「まあ、待ち伏せを指示したのは俺さ、嬢ちゃんは関係ない、とは言わんが相手になろう、機関銃使いの別嬪さんっ」
弥八が腕を降り下ろすと、ティーガーの周りに黒い塊が現れ、赤く染まっていく。「何、まずいっ!」、「まだよ、テスタさんから受け継いだティーガーちゃんの覚悟、あなたは見届ける責任があるわ」
俺が加勢しようとしたのを、茶阿さんが止めた俺の動きを?
小柄なティーガーの姿は、黒い塊に覆われて確認出来ない。黒い塊からは、黒い棒が何本も生えて、赤い液体が流れだしている。棒は、光の反射を抑えた刀、忍び刀だと茶阿さんが教えてくれた。じゃあ、あの赤い液体は?
「ふ、卑怯だとか罵ってもらって構わん、我らお庭番、主命の為なら個人の矜持など溝にも捨てる。次は、お主の番だ!」
「何を勘違いしているか知らない。マスターには、触れさせない」静かな声で、呟くと黒い塊は彼方に払い退けられた。
ティーガーが、走りだした。強敵に向かい、突き進む。砂いろの服は所々破けているが、怪我はないようだ。弥八の周りでは、境内の木々や庭石などが風に舞いティーガーの前進を阻む。風の結界のようなものが、できていると茶阿さんが説明してくれる。
ついに、弥八に届いた。ティーガーの右拳が弥八の頭に迫る。「ダガーン!」
両腕を交差させて、弥八は耐えたが三メートルほど両足の跡を残し、後方に押しやられた。
「ふっ、腕がしびれるぜ」