15 旅立ち
メンテから帰ってくるとパワーアップ?
定番ですね。
2016.12.13 2300 少し、誤字等の修正。
2017.1.9 若干修正
うーん、いい気分。ご機嫌な12気筒サウンドが心地よい。首都高の背景が流星のように流れて行く。大阪城を背景に疾走する赤い矢、それが上空三千メートルから絶妙のアングルで撮影され、ほぼリアルタイムで更新される。
「おやっさん、いい仕事してるね。この偵察ドローン、イカしてるね、難を言えば真っ黒であたしのカラーじゃないわ」
「お前の趣味に合わせたんじゃないぞ。お前のご主人様だとかいう、黒いマントが似合っておまけにブラックカード持ち、どう見たって気に入るはずだぜ」タッチーが、パイプをくわえてニヤリとする。
「まあ、あたしのご主人様はカッコいいけど」
へん、そんなこと言ってんじゃねーんだけどな。「じゃ、店に戻ろうぜ」
「うん。まだ、ご主人様にドローンは見せないでね。あとで、驚かすんだから」
「仕上がったぜ、値が張るパーツを使い、闇業者から特急で手配したんで、ちょっとした出費になったよ。カードで五百ほど請求させてもらったが、かまわんのだろ?」
「構わん」あっさり、俺は、答えた。楽に手てに入れたブラックカード(御免)だ、気楽に使わせて貰う、秀吉さんありがとう。
「はん、気前がいいな。オマケについちゃ負けとくから、これからもちょいちょい来な。飛び切りのコーヒーを飲ませてやるからよ」
「 京都から戻ったら、いただくよ」
「タッチー、またね」
「ありがとう、テスタを治してくれて」
「いいって、それと俺は、タッチーじゃねぇー!盾造だ」
そろそろ、京都に入るが、霧が濃くなって来たな。何か仕掛けて来るか?
「じゃあ、早速新兵器の出番ね。ポチッとな」俺のつぶやきに反応して、黒い何かがテスタから飛び立った。
「ふーん、五キロ先に何か潜んでいるわ。甘いのよ、うちのドロンちゃんから隠れ通そうとしても無駄ね!」
何だか知らないが、偵察機が怪しいものを発見したらしい。ならば。
「ティーガー、迎撃準備!一人は残せよ、尋問するからな」
「了解、マスター」ティーガーの右眼が銀色に妖しく輝いた。