食事!
こんな美味いものならいくらでも食いたいが黒い球体を
食ったところでこの辺りからは匂いが消えてしまった。
「ゲップ・・・。」
とりあえず少年の横に腰を降ろして様子を見守る。
気分がよくなったのか俺の涎が不快なこと以外は健康に問題ないようだ。
落ちてたマントで顔を拭ってやると寝顔から不快感が取れたのかすやすやと
眠りに落ちている。 かわいいもんだ。
そう思い彼の頬に手を当てて軽く撫でたところで
草原の彼方から声が響いてきた。
『殿下ー!!』
よく見ると向こうから騎士の一団が向こうからやってくるではないか。
もしかするとこの少年の保護者か?
そうなると計らずも食事にありついたのだ。礼代わりに送り届けてやるか。
少年を抱きかかえ、俺は騎士の一行に近づいていく。
おーい、殿下とやらはこちらにいますよー。
「殿下ー!・・・ん?!」
少年を抱えて近づくと先頭を歩いていた壮年の騎士がこちらに気付いた。
が、そのあとが宜しくない、剣を抜いたぞ。
「貴様・・・殿下を離せ!」
見事に勘違いされてるな。 まあ、この格好だと仕方ないが。
俺は剣を抜いて威嚇してくる騎士の一撃をあえて警戒せず
少年を受け取るようにジェスチャーをする。
「騎士長、あの化け物は殿下をこちらに渡そうとしているのでは?」
騎士の一人がナイスな事をいってくれる。 俺はそれにすかさず
頷き少年を受け取るように催促する。
「ぐぬ~・・・。」
壮年の騎士はまだ疑っているようだがさっさとしてくれ。