スキルを試したいが・・・
おおよその確認が出来たところで俺は付近を散策してみることにする。
この世界ってどういう世界なのか・・・。
明るい森は涼しくて快適だがとにかく情報が欲しい。
ふらふらと森をさまよっていると草原に出たが俺はその光景に度肝を
抜かれた。
草原を埋め尽くすような人、人、人。
しかもそれは全て地面に倒れ付している。戦争があったのだろうか。
おそるおそる近づいてみると倒れている人は中世の鎧を身に纏った
騎士のようだ。
ゴクリ、不意に俺の喉がなった。
どういうことだ、こんな血なまぐさいところで・・・。
そう思うが突然の渇望に耐え切れず犬のように四つんばいになって
死体の山を搔き分けていく。
血に混じって食い物の匂いがする、まるで好物が鼻の先にぶら下がって
いるような不思議な感じだ。
死体が食いたくなったのか、それとも人肉が欲しくなったのか?
そうなると本格的に化け物だ。 ありえない。
そう思い、混乱するままに匂いをたどるとその中に一人の少年が倒れている。
匂いもそこから発せられている。
「キシュ・・・。」
「う・・・。」
涎がとまらない、垂れ流し状態で少年に飛びつくと少年はまだ
生きているようだ。 しかし顔色がよくない。
出血と・・・病気だろうか。 俺の体はそんな俺の考えを無視して
ベロベロと少年を舐め始める。
まったくの美味に俺は腰が抜けそうだ。 まるでアイスクリームを
舐めているような気分に疑問が吹き飛び夢中で舐める。
傷口が美味だ、特に折れたのか不自然に曲がった腕を舐めると味わいが
まったく違う。 美味い!美味過ぎる!!!
少年が俺の涎でべたべたになっていくのと対照的に少年の肌の色が良くなって
来ているのに気付いたのは折れたはずの少年の腕が元通りになって
いるのに気付いたときだった。
そして体の表面に傷がなくなると今度は口に眼が行く。そして匂いもだ。
どうしたものかと思った時、俺の金属っぽい腕が動き少年の
口の中に滑り込んでいく。
肘の先まで難なく少年の口の中へ突っ込むとなんだか不思議な感触が。
なんかモチモチしたなにかが触れる。 それを握って引っ張り出すと
黒色のなにやら球体がある、これが匂いの本元か。
おそるおそる舐めてみるとこれは上質な肉の味がする!
口に放りこみよく咀嚼してから飲み込むと美味いものを食った
という達成感が体中に広がってとても気持ちがいい。
少年は顔色が随分とよくなり、苦痛に歪んだ顔が嘘のように
安らかに眠っている。 素人判断だが彼は元気になったのだろう。