転生とスキル
俺は目が覚めた。 太陽のまぶしさに手を翳すと俺の手は不思議な形になっていた。
「・・・?」
まるでロボットのような、金属製の腕が見えている。
これがこの世界の俺の体か?
辺りは鬱蒼とした森で俺の寝ているところだけ拓けていて太陽の光が直に届いているようだ。
そうおもっていると不意に頭の中に声が響いた。
『ハロー、聞こえているかい?』
神の声だ。 声を上げそうになったが意外にも冷静でいられた。
「キシィ!」
『ああ、今の君はしゃべれないみたいだね・・・。』
ようやく開いた口は人間とは思えない泣き声を発したのみだった。
神はそんな俺にお構いなしに告げた。
『この世界は魔法やモンスターの類が溢れるファンタジーの世界。』
時折聞いたこともない獣の叫びなどが聞こえるのはそのせいか。
そう思いながら話を聞いていると目の前にディスプレイが現われる。
『この世界ではステータスが自由に閲覧できる、君にはそのスキルについて
話しておこうとおもってね。』
そういわれて俺はディスプレイに目をやる。
名前 ****
種族 不明
職業 悪食の魔物
攻撃 測定不可
防御 測定不可
MP 200000
魔力 測定不可
魔防 測定不可
スキル:悪食、体内錬金、底なし、神眼の鑑定、魔法吸収、神の息吹
聖者の生き血、奇跡の残り香、自己再生、霞喰い、癒しの風
技能吸収、無敵の盾、攻撃反射、言語理解
固有スキル:完全隠蔽
『スキルっていうのは君に与えられた才能、君が健やかに暮らせるように
それと本懐を遂げられるように授けた。』
なんだかいろいろとすごいのが入ってるが・・・。
完全隠蔽ってのはなんだ?
『これは君の能力をスキルを使っても探られないようにするためさ。』
君の能力は凄いんだよ、と神は言っているがドラ○エすらほとんどやったことない俺にそんなこと言われてもこまる。
『うーん、あんまりわかってないね・・・まあいいや。』
最後に君の姿を見せてあげるね、と神様は空中に姿見を作り出した。
「・・・キィッ!?」
驚いた。 完全に人間じゃない。 オニキスで出来たような色と質感の頭部に同じ色の体と右腕、左腕は金属光沢を帯びた銀色でキッチンミトンを五つ指にしたような長く太い腕と対照的に細くシャープで剣先のような形をしている。
足もなぜ曲がるのかと疑問を抱くほど継ぎ目のない一本の角柱だ。
顔は大きな口を備え爬虫類や獣のようだが平面で構成された頭と均等にならぶむき出しの歯のせいで生物に見えない。
体はいかようにでもまがるのか蛇腹のように関節が連なっている。
『スキルの説明は鑑定スキルを使えば見れるから自分で確認してね。』
それじゃあ第二の人生を楽しんでね!と神は告げて声も姿見も消えていった。
「キシィ・・・」
一人になり先ほどの言葉を確認しながらメニューを開く。
えっと鑑定スキルとやらでスキルの確認ができるんだったか。
スキル:悪食 あらゆるものを食物とすることが出来る。
スキル:底なし 食物を制限なく摂取できる。
スキル:体内錬金 食べたものや体内に吸収したものを分解再構築する。
スキル:神眼の鑑定 妨害を受けずスキルやアイテムの詳細を知ることが出来る。
うーんこれくらいなら俺でもまだ理解できるし名前のとおりだな。
次は・・・奇跡の残り香ってなんだ?
スキル:奇跡の残り香 即死を回避する、味方に伝播する。
おお、即死回避か、しかも味方にも効果がでるのはありがたい。
まだ仲間いないけどな。 えっと次々。
スキル:神の息吹 回復魔法・回復スキルの効果が大幅上昇。
おお、これもなんか役に立ちそうだな。
スキル:自己再生 体の欠損部分から再生する。 回復スキルがあった場合修復にかかる時間が減少する。
これって神の息吹が関連してるから凄く強くなってるってことか。
しかしこの硬そうな体に自己再生って必要なのか?
ちょっと疑問に思いつつスキルを見ていくと。
スキル:聖者の生き血 血や肉が傷と万病を癒す奇跡の薬になる。 回復スキルがあると効果が倍増する。 このスキルを持つ者は冒険者に狙われやすい。
医療効果が大幅に上昇する。
うわ、これは・・・ちょっと厄介な能力だな。 俺の体に血と肉があるのかはなはだ疑問だがこれは乱獲フラグじゃないのか?
スキル:霞喰い 霊や精霊、魔法など実体の無いモノも食べることができる。
これもなんか凄い能力だな、見たときは仙人にでもなったのかと思ったが・・・。 つまりは実体のない奴らの天敵か。
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