めんどうな場所
「…あいつ」
エセお嬢エリンを振り切り葵を誘いに来たのだがもう帰ってしまったようだ。
部活とかもやってないので、ここにいないってことは帰ったんだろう。
…んだよあいつ、いつも待ってるか呼びに来るくせに。
「…帰るか朱莉」
うん、と頷いた朱莉はちょこちょこと後ろについてきた。
…天使じゃぁ、天使がおる。
「…あいつ真面目に学校来てるぞ」
どこからかはわからないがひそひそと聞こえてきた。
…多分俺に対してだろう
「…本当だ、まあどうせあいつが引っ張ってきたんだろ」
…よくやるよ、本人に聞こえてちゃ陰口じゃないぞ
「でも今一緒にいないぞ」
…ああ、うるさい
「ああ、わかった。見放されたんだよきっと」
…うるさいなぁ
「ついに愛想つかされたか、かわいそー」
…うるさい
「ひいっ!」
…うるさいうるさいうるさい
「ま、待ってくれ!別に悪気があって言ってたわけじゃないんだ、なあ!」
…うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!!!!
「だめ」
「…ん、朱莉?どうした」
「まわり、見えてない。目覚まして」
…何やってんです俺。いつのまにか名も知らない男子生徒の胸ぐらをつかんでるじゃないか。
「…すまん」
「ごめんなさい」
「あ、ああ…」
俺が名も知らない男子生徒Aを離すと、Aくん【省略】は逃げるように立ち去って行った。
「朱莉」
「礼はいらない」
…やっぱ学校はめんどうだ。
「帰りにアイス」
「いらないんじゃなかったの!?」
こうして俺と朱莉はアイスを食べながら帰った。
でもなんか物足りなかった。
…あいつそんなにいやなのか妹