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じゅぅぃち 心配

眠たい中書いたので、すこし文が変かもしれません


日本で言うとアニメ(Anime)とは国内外問わずアニメーション作品全般のことを言う。


しかし、ひとたび国外、とくに欧米にいくとアニメと言う言葉は、日本製のアニメ、あるいは”日本製風”のアニメのことのみを指す。


もともとアニメ(Anime)という言葉が和製英語であること、アニメーション(Animation)をどう略してもAnimeというスペルにならないことから、欧米ではそう思われている。


そして、アニメは実に世界で人気がある。世界で放映されているアニメの大半は日本のものだ。外国人が言うには、「私達が、アニメは子供達の物だという古臭い認識に捕らわれている間に、日本人はアニメで様々な表現作品をつくりあげてきた」とのことだ。


実際、日本のアニメ作品には様々なものがある。子供向けのものから昔ながらの単純な勧善懲悪もの、暴力的なものから性的・ロマン的なものや社会風刺・ミステリアスのようなものまで、あげるとキリがないほどだ。


たしかに、枠にとらわれない日本のアニメは、世界的にも優れていると思う。


しかし…



『見ておくれコロンちゃん、僕たちの愛の証、結婚指輪(エンゲージリング)だよ』



『まぁ、素敵!この小さな銀の指輪が、私達を永遠に繋ぎとめるのね!』



『そうとも!永遠に一緒だよコロンちゃん!』



『ああ、モッ君!』



『待ちなさい、コロン!』



『!?お父様!?』



『義父さん?!』



『この婚約は取り消しだ。その男と縁を切りなさい、コロン』



『ええ?!何でですの、お父様!』



『さっきまで、僕たちの婚約に賛成してくれていたじゃないですか!』



『…さっき、君の戸籍謄本を見せてもらったよ。それで分かったんだ…君が…




コロンの生き別れの兄だとね!!!』



『なな、なんだってー!??』



『それに君は、猫谷家のご夫人と関係を持っているそうじゃないか!!』



『?!そんな!本当ですの?モッ君!!』



『違うんだ!コロン、あれは一夜の過ちだったんだよ!』



『随分な言い草ね、モッ君』



『?!貴女は、猫谷家のご夫人、ネルさん!!』



『一夜の過ちですって!?このお腹の中には、貴方の子供がいるのよ!!!』



『なな、なんだってー!?』



『自分の妹に思いを寄せ、夫のいる身であるご夫人に関係をせまり、あまつさえ子供作るとは!君はなんていう獣なんだ、モッ君!!!』



こういうアニメはどうなんだろう…


今、アンとサンがかじりつくように見ているテレビアニメは、日本で人気のある教育番組”森の昼下がり”っていうらしい。


ユキさんに聞いたところでは子供向けの有名なアニメなんだとか。肝心のストーリーは、森の村に住むモッ君が、名家であるリス山家に使用人として使え、そこのお嬢様に恋をするというところから始まる。


最初、二人の関係は順調だけど、しかし、モッ君は見かけによらずかなりのプレイボーイで、村の女の子達と次々に関係を持ってしまい、二人の恋路は波乱万丈なものになっていくという…昼ドラばりのドロドロ展開になる。


こんなのが教育番組というのだから驚くしかない。子供達にも大人の恋を知ってほしい、というコンセプトから製作されたらしいけど、個人的には製作スタッフの神経構造を疑っている。



「いけ!そんなアバズレ売女(ビッチ)なんか張っ倒すのよモッ君!!」



「ああ!駄目だよぉ、ネルさん、包丁なんか握り締めたらぁ」



…こんなのが、平均視聴率15%なんだからなぁ。


モッ君に夢中になっている二人を眺めていても仕方ないので、腰を上げた。ユキさんがクーと怜と一緒に買い物から戻ってくるまでに、夕飯の支度くらいしておいた方がいいかもしれない。もう時計の針は六時半を回っていた。


そうだ、と思いついて、台所に立つ前に外に出てみる。そとは夕日に暮れていた。


高台に立つユキさんの家からの眺めは、案外いいものだ。町の半分を一望できる。


ここの町の名は”涼ヶ(すずみがおか)”というらしい。


海に接する静かなこの町は、一年を通して海からの風に木々を揺らしている。


かつて日本中を覆った開発の波に乗り遅れたために、普通なら整備され、リゾートホテルが立ち並ぶような綺麗な海岸線は、今現在でも昔ながらの姿を保っていた。


関東地域の東、空の玄関である新東京国際空港まで車で一時間半のこの町は、知る人ぞ知るバカンスの聖地だったが、それでも大した数の観光客は来ないらしい。


今でも町民の数は緩やかに減り続けており、ユキさんのおじいさんである佐伯俊夫さんは、そんな静かなこの町を、余生を送るのに最も素敵な場所だと生前語っていたと、ユキさんが話してくれた。


確かに、生い茂る木々の緑と、入り組んだ入り江の青い海水の色が支配するこの町は、外国人のボクにでも何処と無く故郷の香りを感じることが出来る。残り短い命を持った人がここに足を踏み入れたなら、誰もがここに骨を埋めようと思うのは当然かもしれない。


六時半の夕日に照らされるこの町の綺麗な晩日の姿は、そんな話に強い説得力を持たせてくれる。


夕凪が、ボクの頬を撫でた。


ここでその生涯を終えたユキさんのおじいさんは、どのような人だったのだろう。


かつてボクの祖父に聞いたところでは、体格はそれほど良くなく、お世辞にも勇猛そうには見えなかったそうだ。だが、確実に記憶に残るような、独特な雰囲気の人物だったらしい。


祖父との約束を律儀に守り、敗戦後にあの潜水艦U-158から”彼女達”を救い出し、誰に売る訳でもなく丁重に管理していた人物…


一度は会って話をしたかった。きっと、面白い昔話をしてくれただろう。とても面白い話を。


あの頃、”彼女達”を”狙っていた””連中”は、彼ら達だけではなかったはずだ。


”色々と苦労した”だろうに…


すると途端に、町に広がる夕焼けの赤い色が、不気味な深紅に変わったような気がした。


あの頃から時代は変わった。戦争の世紀は終わったし、世界中では平和が常識なものになっている。だけど、それでも”彼女達”に付きまとう”影”がいなくなったわけではない。


ユキさんのおじいさんは、そのリスクを十分に承知していたに違いないだろう。あの戦争を生き抜いてきた人なのだから、どうすべきかも分かっていたはずだ。


だがユキさんは違う。まったくの一般人だ。”彼女達”のリスクについてなんて、考えたこともないだろう。


話しておくべきか、それとも心配のしすぎか…


頭を悩ましていると、不意にお腹の虫が鳴いた。



「……」



…先に腹ごしらえかな。まぁ、このことについては後で考えるとして、夕飯の用意をしよう。


そう思って玄関をくぐり、台所へ向かうと、アン達がいる居間の方から例のアニメの大音量が聞こえてきた。



『きゃあぁぁぁぁ!!!』



『ああ!猫谷家のご夫人!!』



『モッ君…!なんていうことを…』



『なんてことだ…僕は、またしても…人を殺めてしまった…』



『またしても…?!ということは、君は以前にも…!?』



『ええ…実は、5年前の町長殺しも、僕がやったんです…』



『なな、なんだってー?!』



『さらに10年前の連続殺人事件も!』



『なな、なんだってー?!』



『そのうえ15年前の銀行強盗事件も!』



『なな、なんだってー?!』



『言わずもがな20年前の村人30人強盗撲殺市中引き回し逆十文字固め事件も!!』



『なな、なんだってー?!』



『ああ、私の愛した人は許されざる咎人だったのね…それでも私の燃えるような熱い想いが絶えることは無い…なんていう、罪深い恋なのかしら…!!』



『衝撃的なことに30年前の連続爆弾テロも僕(略)』



製作者は、どうやってあのアニメを終わらすつもりなのだろう。


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