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魔王はハンバーガーがお好き  作者: 28号
魔王とハンバーガーの章
7/102

Episode06 カメラ

魔王の舌をうならせるだけあって、『ROUTE66』はそれなりにお客が来る店である。

 店と同じ名の側を通る道路はほとんど使われていないらしいが、それでもマニアックな観光客や、近隣の街に物資を運ぶトラックという機械仕掛けの乗り物が時折通りかかる。

 そう言う人たちの中に足繁くこの店に通う物も多いのだ。

「いやぁ、それにしてもわれらの歌姫にもついにコレができたとは」

 なかでも、この男。私に向かって小指を突き立てている『スティーブ』自称43歳独身は常連中の常連で、やたらと私や師匠にかまってくる。

「で、歌姫との仲はどれくらい進展したんだ?」

「歌姫とは師匠のことか?師匠とは、一緒に肉を焼く仲だ」

「お前変な奴だな。ジョークは笑えないが」

 そう言いながら、スティーブは唐突に私を側へと引き寄せる。

「ま、冗談はこれくらいにして」

 言うなり、スティーブは私に黒い小さな箱を押しつけてきた。

「お前みたいのが歌姫の好みとは思えん。何か訳ありだろう?」

「うむ」

「よかったら、俺がいろいろと協力してやる」

「本当か?」

「ただし」

 言うと、男は小さな箱を私の手にしっかりと握らせる。

「歌姫ちゃんの写真をフィルムいっぱいにとれ。もちろん気づかれないように、着替え中だとなおよし」

「写真?それは何だ」

「しらないのか?」

「うむ」

「とにかく歌姫ちゃんに気づかれないように、このレンズから歌姫ちゃんをみろ!そしてこのボタンを押せ」

「それだけで私に協力するというのか?この世界に住人は皆人がよいのだな」

「俺は来週また来る。それまでにカメラとフィルムを預けるから、取りきれよ」

「承知した」

 スティーブが帰ったあと、私は早速カメラとやらで師匠の写真とやらをとってみた。

・・・が。

「それで、あんた隠れているつもりなの?」

「うむ、隠れてとれとの指令だ」

「柱から、体の半分丸出しで?」

「全部隠れたらこの窓に師匠が入らない」

「魔王って盗撮もできないのね」

「とうさつとはなんだ?」

「まあいいや、そのカメラ貸して」

「いや、コレは私の仕事で」

「私が写ってればいいんでしょ」

 言うなり師匠は私の腕からカメラをひったくると、唐突に私の肩を抱き寄せる。

 それからカメラの表面を私たちの方に向け、微笑んだ。

「魔王、あんたが好きなバーガーは?」

「チーズ」

 そして師匠はボタンを押した。

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