表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王はハンバーガーがお好き  作者: 28号
良い魔王と悪い魔王の章
42/102

Episode38 大切に

「師匠、今日は私に付き合って欲しい」

 私がそう言って頭を下げると、師匠は何故だか挙動不審になり、持っていたコーヒーを派手にブチまけた。

「つ、付き合うって…」

「うちのガレージでギャング団の集会があるから、一緒に出て欲しいのだ」

「……遊びか」

 師匠はなにやらがっかりした顔でコーヒーを拭いている。

 てっきり用事があるのかと私までがっかりすると、師匠が慌てて行くと言ってくれた。丁度今日は午後から休校らしい。

「それで、今日はどんなイタズラの会なの?」

「今日はイタズラではなく、宝物を見せ合う会なのだ」

「宝物?」

「一番の宝物を持ち寄って、それがいかに凄くて素敵かを自慢しあうのだ」

「え、あの、それ…」

「私は高価な物は持っていないし、それに宝と言ったら師匠しかないから」

 だから来てくれないかとお願いすると、師匠はなぜだか戸惑っていた。

「…けっけど、プラモデルとかハンバーガーとかもあるじゃない」

「でも宝物とは一番大切にしている物だろう?」

 ハンバーガーは好きだけど食べてしまうし、プラモデルは遊ぶときに振りまわして傷つけてしまう。

 だから傷も付けたくないほど大切で、ずっと側にありたいと思う物は師匠しかないのだ。

「……だから、私と一緒に来て欲しい」

 大事なお願いをするときは、紳士的な態度でお願いをする物だとテレビで言っていたので、私は師匠の前に片膝を突き、その手を取った。

 途端に師匠は真っ赤になって私の腕をふりほどく。

「やはり駄目か…」

「そうじゃない、そうじゃないけど!」

「ならいいのか?」

「……あんまりドキドキさせないで、お願いだから」

「別に怖いことは言っていない」

「うん、わかんないならいいや。っていうかそうよね、無意識よねどうせ」

 何故だか師匠はちょっと残念そうだったが、集会にはちゃんと来てくれた。

 そう言う優しいところがやっぱり凄く好きで、それをふまえて師匠がいかに素晴らしい宝物かを熱弁したところ、本日の一等賞を貰うことが出来た。

 やはり師匠は最高の宝物である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ