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魔王はハンバーガーがお好き  作者: 28号
魔王と友達の章
30/102

Episode27 ちびっ子ギャング

「師匠見てくれ!」

 そう言って私が胸のバッジを誇らしげに指さしたというのに、師匠はちらりと目を向けただけだった。

「なんで瓶の蓋なんて胸につけてんの」

「違う、これはギャング団の証だ!」

 私が言えば、師匠は虚空を見つめ、やる気のない声で「ああ」と答える。

「そう言えば近所の悪ガキ達が付けてるわね」

 そう言って師匠がバッジを指で弾くと、バッジは小気味いい音を立てて床へと落ちる。

 凄く格好いいのだが、蓋の裏にセロテープで安全ピンを貼り付けているため落ちやすいのが難点だ。

「ってかあんた、いつの間にガキンチョ達と仲良くなったの?」

「仲が良いとのとはちょっと違うな。私はリーダーのアルファに脅迫されているのだ」

「脅迫って、あの子10歳くらいでしょう」

「魔王であることが先日ばれてしまってな。それをアルファのママに黙っていて貰う変わりに、彼らの仕事に付き合っているのだ」

「情けない……ってか仕事って?」

「近所の犬の首輪を外したり、意地悪おじさんの家の玄関マットを隠したり、みんなでお菓子を食べたり、ゲームをしたりすることだ」

「それ、仕事じゃなくて遊びっていわない?」

「でもみんな真剣だぞ」

 むろん私もだと告げると、師匠は床に落ちたバッジを拾い上げる。

「あんたは良いわね、楽しそうで」

「私も、脅迫される事がこんなに楽しいとは思わなかった」

 私が笑顔を向けると、師匠は壊れたバッジからセロテープをはがし、粘着力の強いテープで貼り直してくれた。

 あまりに手際が良いので驚いていると、師匠は私に苦笑をむけた。

「私も昔は、ギャング団の一員だったの」

 その後師匠は、ガレージの奥から大量のバッジを持ってきてくれた。古いが格好いいデザインのバッジに私が感動していると、師匠はその中から私好みのバッジを取り上げ、胸に付けてくれた。

 これを見せたら、人気者になれるわよ。

 師匠に言われるがまま、翌日アルファにバッジを見せると彼は大層感動していた。

「これどうしたんだ!」

「うちの師匠に貰ったんだ」

「そうか、どこかで見覚えがあると思ったらあの姉ちゃん伝説のボスだ!」

「ぼす?」

「俺達がやってるイタズラの殆どは、ボスが考えた物なんだぜ」

 前々から大物だとは思っていたが、やはり師匠はただ者ではないようだ。

「ボスの彼氏なら、これからは脅迫なんて出来ないな」

「彼氏ではないぞ」

「とか言っていつもくっついてるじゃん」

 確かにホラー映画を見るときはくっついている。

 あと見た後は一人では眠れないので師匠と一緒に寝ている。

「くっつくのが彼氏なら、確かに彼氏なのかも知れない」

「じゃあ今日からは対等の仲間だ」

 差し出された手を握り、私は思わず笑みをこぼした。

 脅迫されるのも悪くないが、対等になるのはもっと悪くないと思った。

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