Episode17 対決
「彼女をかけて、俺と勝負だ!」
かつては勇者と名乗る人間達と戦いを繰り返してきた私だが、この世界で決闘を申し込まれたのはそれがはじめてだった。
そのうえ対決の場所は暗黒の谷にそびえ立つ城でも、魔物の森の奥の神殿でもなく、師匠の家の玄関先である。
「師匠! 対決を申し込まれたのだが、受けるべきだろうか!」
師匠は部屋の中でエクササイズという奴に興じていたが、私の言葉に面倒くさそうに顔を上げる。
「誰がきたの?」
「君は誰だ?」
「チャーリーだ!」
「チャーリーだそうだ」
「ああ、クラスメイトなの」
「師匠の友人か、それは対決すべきではないな。さあ中に入り給え、コーヒーとコーラがあるがどちらが良い?」
「……あんた、俺の話を聞いてたか?」
「師匠の友人なのだろう。ああそうだ、昨日私が焼いたクッキーがあるんだ、どうぞ食べていってくれ」
「いや、だから俺はあんたと勝負を……」
「師匠の友人は私の友人だ! そうだ、私のプラモデルコレクションを見せよう! 友達に見せるのが夢だったんだ!」
「俺を馬鹿にしているのか?」
「馬鹿にされることはあるが、人を馬鹿にしたことはないぞ」
それからもう一度飲み物のオーダーを聞くと、チャーリーという若者は小声で「コーラ」と返してくれた。