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魔王はハンバーガーがお好き  作者: 28号
魔王と師匠の章
16/102

Episode14 気心の知れた仲 

 朝起きると、師匠が私にメモを押しつけてきた。

「今日から私学校なの。授業はないからお昼過ぎにはもどってくるから」

「ということは、店の方は午後からか?」

「うん。学校が始まったら夕方からになるとおもう」

「なんなら、先に行って開店の準備をしていようか?」

「でも車運転出来ないでしょう」

「安心しろ。こういう時のために、色々と教わったのだ」

 得意げに言うと、私は我が相棒魔剣アンティベラムを呼び出す。

『例の奴ですか』

「たのむ」

 私はいうと、我が相棒を床に突き立てた。

 その直後、相棒は一台のバイクへと変化する。

「これは・・・」

「運転の仕方はスティーブに教えて貰った」

「あんた達、いつの間にそんな仲に」

「師匠の寝顔の写真を渡したら、私の事情を全て受け入れてくれたぞ」

 なぜか、そこで殴られた。

「変な奴と心を通わせおって・・・」

「そうなのだ! スティーブは良い友人なのだ! 私に、これほど良くしてくれる友人は未だかつていなかったのだ」

 私がいうと、何故だか師匠は拗ねたような顔で私を見上げてきた。

「私は、友達じゃないわけ?」

「うむ」

 頷くと殴られた。しかし嘘はないのだから仕方ない。

「師匠は友人よりももっと特別だ。どう形容してよいのかはわからないが、スティーブよりももっと気心が知れた間柄だと思っている」

 私が答えると、やはり師匠は真っ赤になってそのまま家を出て行った。

『主よ、発言してもよろしいでしょうか?』

「なんだ?」

『私はあなたを少し見直しました。破壊行為以外は何の取り柄もないと思っていましたが、まさか女性の心を掴む才能があったとは』

「女性の心とは手でつかめるものなのか?」

『その上天然でいらっしゃる。どうやら跡継ぎの心配はいりませんね』

「そのような者を作るつもりはない」

『ですがせっかく新天地を見付けられたのです。この世界を我が物になさりたいとは思わないのですか?』

「不思議な話だが、こちらに来てからはそのような感情とは縁がない」

『ふむ』

「ただあるのは、ハンバーガーがたまらなく愛しいという感情だ」

『私には理解しがたい』

「お前にもそのうち分かるさ。私とお前は破壊のために作られた物同士、その片割れがハンバーガーをこんなにも愛せるならば、お前にもその素質があるはずだ」

『お言葉ですが、私は物を食せません』

「ならばあの造形を愛でればよい」

『たしかに、あのふくらみは女性の胸のようで愛らしいとは思います」

「おまえ、エッチだな」

『覚え立ての言葉をすぐ使いたがる所は、直した方がよいかと思います』

 魔王の相棒は、そう言ってエンジンを吹かした。



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