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Episode11 笑い方
パーティーの翌日は、店にたくさんのお客さんが詰めかけた。
昨日の夜の師匠の歌は素晴らしく、一緒に考えたトークも良かったようだ。
「店の宣伝を入れたのはあたりだったわね」
厨房で忙しく働くながら、師匠は嬉しそうに笑っていた。
だがふと、客入りを見て師匠は僅かに表情を暗くする。
「なんか、女子も多くない?」
そうだろうかとカウンターから顔を出すと、何故だか女子達から歓声が上がった。なんなんだこれは。
「…スティーブあたりがバラしたな」
「何をだ?」
「…あんた、今日厨房」
「しかしハンバーガーは」
「今いる分は全部焼いてあるから、後はひたすら挟め! とにかくあんたは、そこから出るな!」
そう言うと、師匠は私を置いて厨房から出て行ってしまった。
言われるがまま、ハンバーガーを作りながら師匠の方を伺うと、師匠は先ほどの女子達の所にいた。
心なしか、師匠の笑い方が怖い。今日は言われたとおり、厨房からでない方が良さそうだった。