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むりやり自宅警備員  作者: 白かぼちゃ
はろう、異世界
9/62

森の仲間と開店準備(後)

お気に入り登録や評価をしてくださった方ありがとうございます!

これを糧にがんばっていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。

 



 さっそくですが部屋に上がっていただきました。

綺麗なおねえさんと部屋で二人きりって緊張するよね。

えっ? 何もあるわけないから緊張しなくてもいいって?

緊張を解そうとしてくれるなんてやさしいなぁ。


「わざわざ来ていただいてありがとうございます。

どうぞ、粗茶ですが」

 

「ありがと~。

これがグランちゃんの言ってたお茶ね?

たしかにおいしいわ」


 ……グランちゃん?

会った感じではちゃんづけされるようなキャラじゃなかったとおもうんだけど。


「グランさんとはどういうご関係なんですか?」


「グランちゃんは小さい時からよく面倒見ていたわ。

いまじゃ立派になっちゃって。

私の自慢の一つなのよ~」


「……ちなみにお二人の年齢はどのぐらいなんですか?」


 するとミリアさんの後ろから、見事な九本の尻尾が現れた。

波打つ姿はススキ野原のように美しい。


「グランちゃんは30ぐらいになると思うわ。

私はこの通り九尾だからもうちょっと長く生きてるわね。

でも女の人の歳はあんまり聞いちゃだめよ?」


 たしか九尾って千年単位で生きてたような気が……。


「ね?」


 泡立つ皮膚、震える膝に乾く喉。

初めて感じる。これが……殺気!


「失礼しました。

あまりに若々しくお綺麗なので、グランさんの面倒を見ていたといわれて驚いてしまいまして」


「やだ、恥ずかしいわ~」 


 こうして照れてるの見ているとさっきのが勘違いだったんじゃないかと思えてくる。

そうだ、きっと勘違いだったんだ。そうに決まってる。

まぁ今後年齢についてはミリアさんの前で口にしないけどね。

そんなことを考えていると、ふとミリアさんが心配そうな顔になった。


「でもあなたも大変ね。

あなたを見て、グランちゃんが私に家に行ってやってくれって言った意味がわかったわ」


「わかるんですか?」


「ええ、あなた自らの所有する空間の中から出られないみたいね。

私だけじゃなくても、一定以上の力をもっている人ならある程度わかるはずよ」


 そうだったんだ。

じゃあグランさんわかっててもわざわざ言わないでくれたんだ。


「これどうにかならないでしょうかね?」


「それは難しそうね……。

それはあなたの魔法と切っても切れない関係にあるみたいなの。

魔法は魂に組み込まれ、修練によって強くなるもの。

もしどうにかできたとしてもあなたが無事では済まないと思うわ」


 やっぱりそんなにうまくはいかないよなぁ。

わかってはいたけど、どうしても気分が暗くなるよ。


「でもね、心配しなくてもいいのよ。

ここから出られなくたって、私やグランちゃんが助けてあげるから大船に乗った気でいなさい」


「でも……」


「私もそれなりに生きてきたけど、ぐるぐる悩んで解決したことなんてほとんどないの。

あなたの悩みはつらいだろうけど、今すぐになんとかしなければいけないわけじゃないわ。だからいろんな人に相談したり助けてもらったりしてゆっくり解決していけばいいの。

だからもうこの話はここで終わり~。

それよりも今日私を呼んだのはお金が貸してほしいからだったわね?

私の金利は高いわよ~?」


 そう言って人の悪そうな笑みをこっちに向けてくる。


 ……あー、俺にはもったいないぐらいにいい人たちだ。

こんなに良くしてもらって、恩返しきれるかな?


「どんとこいですよ。

でも出世払いでお願いしますね」


「ふふふ~、期待してるわ。

貸すだけじゃなくて、魔力との両替もしてあげるからしてほしかったら言ってね?」


「じゃあレートがわからないんですが(200,000)ほど両替してくれませんか?」


 とりあえずこれだけあれば改築をしてもしばらく保つだろう


「だいたい同じぐらいの価値だから200,000フォルになるかしらね。

それでいいかしら?」


「お願いします」


「はいはい、じゃあ200,000フォルね。

この森に住んでると魔力の方が便利だから手数料は勘弁してあげるわ~」


「ありがとうございます。

じゃあ魔力をお渡ししますね」


「……はい、確かにいただきました。

今日の予定はこれで良かったかしら?

この後お仕事が入ってるからそろそろ失礼するわね。

何でも屋<狐火>、これからもよろしくね~」


「またよろしくお願いしますね。

今日はありがとうございました」


 頭を上げるともうそこにミリアさんはいなかった。

あの人って実はとんでもない人じゃなかろうか。


「やっぱ伊達に長生きしてないってことなのかな?」


 どこからともなく木の実が飛んできて頭に当たる。

……ミリアさん、痛いです。




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