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むりやり自宅警備員  作者: 白かぼちゃ
はろう、異世界
6/62

幕間:くるしゅうない、おもてをあげい。

 皆のもの、楽にしてよいぞ。

わが名はアスフェル。

誇り高きフェンリルの血族にして、この<魔物の森>を治める偉大なる父上の第一子である。

数日前よりこの森に突如現れた不審な輩がいるという。

害意は感じないというが、不安なので調査してほしいとの嘆願があった。

民の平穏を守ることも王族の務め。

その者を我自ら調べてこようぞ!




 ガサッ……ガサガサ


 ふむ、ここがそうか。

たしかに見慣れぬ者がおるわ。

人間のようだが髪と目に我と同じ高貴なる黒を持っておる。

なるほど興味深い。しばらく観察してみるか。


「お犬様じゃ、お犬様じゃ」


 ほお、わが高貴さがわかると見える。

犬ごときと同一視されるのは屈辱だがわが一族は歴史の表には余り出ぬゆえ知らぬのだろう。

それにどうやら我の方が年若いようだ。寛容な心で無礼を許してやるとするか。


「こ、怖くないよ。こっちにおいで」


 ……うむ、敵意はないようだ。近づいてみるとするか。


「そこの者、名を申せ!」


「こんにちは、俺はサイトウ=ユウっていうんだ。

長く、できるだけ長くよろしくね」


「珍しい名だな?」


「おいしいご飯上げるから、もっとこっちにおいで」


 そう言ってやつは何もない空間から肉と水を生み出しおった!

数ある魔法の中でも最上位である創造系の魔法を使うとは……。

よかろう。頂くとしよう。


 ふむ、赤身に美しく脂身がのっておる。

見るだけでも楽しませてくれるわ。

では頂くとするか。


 ……こ、これは!

この柔らかさ……以前食したペガサス以上か!?

そして微かにエールのようなニュアンスを感じる。おそらく丹精込めて育てた肉なのだろう。

野生の肉にはない、作り込まれた芸術品のような感じを受ける。

水もうまい。軟水の中でも上質なものに違いない。

これほどのものを創造するには極めたとすら言える魔法の錬度をもって、膨大な魔力を使わねばなるまい……。

そなたの歓迎、たしかに受け取った!


「美味なり! 我は満足だ!」


 食事が終わった後、やつは我を撫でようとしおった。

未だに敵意を感じない。そのまま撫でられるとするか。

悪くない、良い気持ちだ。


 ……はっ! 寝てしまったようだ。

むう、不覚なり。




 ゴホン、調査はこれでいいだろう。

民の嘆願でも害意はないとあったうえ、我も感じることができん。

ところどころ馴れ馴れしいところもあるが概ね礼を尽くしておる。

この者ならば民になるかは分らぬが、民を脅かすこともあるまい。


「よき隣人よ!この森はそなたを歓迎する!」






 なかなか気持ちの良い者であった。

我に媚びるわけでなく、あれほどの魔法が使えるのに驕った態度もなかった。

それに、その……撫でるのもなかなかうまかったしな。

また気が向いたらサイトウに会いに行くとするか。


 我らが隣人に幸せが訪れんことを。




かなりやってしまった感満載です。

松阪牛は、一部ではビールを飲ませて育てるのだそうです。

ちなみに白かぼちゃは、一度松阪牛食べましたが舌が貧乏すぎて普通にうまいぐらいしかわかりませんでした。

身の程をわきまえろって話ですね。

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