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むりやり自宅警備員  作者: 白かぼちゃ
おいでませ、ベイビーバード
19/62

救世主様じゃー。

祭りだ祭りだ。

PV100,000 ユニーク13,000突破しました。

うれしすぎます。

ハイなテンションで書いたのでいつもよりは気持ち長いです。

これからもよろしくお願いします。

甘かった。そう言わざるを得ない。

甘く見ていたのだ。複数人に料理を出すことの大変さを、誰も雇っていないことの厳しさを、そしてやつら(・・・)の胃袋を――。


 話はモグラの団体さんが入ってきたところまでさかのぼる。









「こんな大勢で来てくださってありがとございます。ご注文は何に致しましょう?」


 しっかり椅子も高くしてある。ふっふっふ、想定通り。


「ハンバーグってのを2つと、この量なら……ステーキ(鳥)ってのを5つとパンを3つ。こいつらにも同じものを頼むぜ」


「…………」


「どうした?」


「ああ、すいません。この量ですと少々お時間を頂くことになってしまいますが……」


「まぁなるべく早くしてくれよ? こいつらも仕事上がりで腹減ってんだ」


「分かりました、しばらくお待ちください」


 まずい。まずいまずい。

あんたら見た目もファンタジーだけど胃袋もファンタジーなのかよ。


 来てくれたモグラーズはグランさんも入れて8人。

つまりオーダーされたのはハンバーグ16個、ステーキ(鳥)40個とパン24個。


「魔法発動、コンロ(10,000)、フライパン(3,000)」


 くっ、多少無茶だがフライパンふたつで8個を同時に焼いて順次出していくしかない。

そして焼いている間も暇はない。


「こちらがサービスのリンゴになります」


 そう、ミリア達だってまだいるのだ。


「私が今まで食べたどのリンゴよりもおいしいわ~」


「うむ、大きさや食感、蜜の量までこの森になっているものとは段違いだ!」


 うう……、うれしいけどゆっくり聞いてられないんです。


「お待たせいたしました。一度に出すと冷めてしまいますので、できた分からお出しします。ハンバーグ1つとパン3つになります」


「おお! うまそうだ!」


 8人それぞれに出し急いで厨房に戻る。


「うめぇー!」


「こんなの食ったことねぇよ!」


「次も早く持ってきてくれー!」


 向こうから聞こえてくる声に力が湧いてくる。

よかった。気に入ってもらえたみたいだ。

じゃあどんどん作りますか。かかってこいやー。









 もうだめだ。これ以上働いたら死んでしまう。

現在この店にいるのはお茶を飲んでくつろいでいるミリア、アス、グランさんにひん死状態の俺。みんなが手伝ってくれなければとてもさばききれなかっただろう。

それどころかピークが終わるまで生き残れたかどうか……。


「いやそれにしても俺たちが頼んだ時のサイトウの顔、あれはよかったなー」


「それも良かったけど、お肉の焼き方を『血の滴るレア』で注文された時もよかったと思うわ~」


「いや、一番よかったのはヘビ型の者にナイフとフォークを出していることに気付いた時であろう」


 くそうくそう。ヘビの人は純粋なミスだったけど、焼き方はそんな具体的なレア聞いたことなかったんだよ。


「ありがとうございました。みなさんが手伝ってくれていなかったらどうなっていたことか……。今日のお食事代はこちらに持たせてください。ミリアとアスにはお土産にリンゴも渡すね」


「うむ、そう気にするな。それにしても今日のリンゴだが一体何だったのだ? 

この森にもリンゴがなっておるがそこまでのものは見たことがないぞ?」


「私も気になったわ。いろいろなところに行ってきたけど見たことないもの」


「これは俺の故郷のリンゴなんだ。いろいろな種類のリンゴと受粉させていいとこどりさせたリンゴなんだけど……」


「そんなことしてあるのかよ。確かにすげえうまいがかなり高いんじゃねえのか?」


 確かに言われてみれば不自然なほど高かった。日本にいたころは物や時期にもよるが1個200円もあれば買えたはずだ。それなのにここでは(800)もした。今日は忙しくてほかのものに変える暇がなかったが明日以降は変えるべきかもしれない。


「ちなみにこの森ではリンゴ1個どのぐらいするんですか?」


「この森じゃあ売ってねえよ。基本的になってるのを勝手に取って食うだけだから誰も買わねえんだよ。代わりに取って来てもらうにしろ1個(20)がいいとこだろ」


「サンライズでも1個100フォルってところかしら。その場合でもなってるところまで取りに行くことに対する代金みたいなものね」


 どういうことだ? この魔法を初めて見たとき、店で売ってるぐらいの値段だと思ったんだけどもしかしたらほかに基準があるのか?


「グランさんには言ってなかったんですけど、自分の魔法は魔力を使って食料や生活用品を生み出すことができるんです。<キー>はフォルで、1フォルで(1)回復します。食料を生み出すにはフォンで買う場合と同じぐらいの魔力で済むと思っていたんですけど……。このリンゴ、故郷で買うと(200)ぐらいのはずが魔法を使うと(800)もかかるんですよ」


「そういう魔法だったのか。なら確かにおかしいな。

何処探したってリンゴ1個(800)で売ってるところなんてないと思うぜ」


「だが我はこのリンゴ(800)ならば欲しいと思うぞ」


「どういうこと?」


「確かに高いがこんな美味なリンゴは何処を探してもないだろう。

味と比較して(800)ならば妥当であろうということだ」


「そうね。このリンゴなら(800)でも問題ないわ」


「そういう見方でいうなら、この森の結構なやつらが納得すると思うぞ」


 そうなんだ。……ちょっと待った。もしかしたら……。


「聞きたいんだけどこの森で水を売るとしたらどのぐらいで売れる?」


「水もそのあたりの池から飲めばよいのだから値段はつかないであろう。

だがサイトウが以前くれた水ならば……このコップ一杯で(30)か(40)の値段がつくかもしれん」


「ありがとう。ミリアとグランさんにも評価して頂けませんか?」


 コップに某天然水を注ぎ2人に飲んでもらう。


「たしかに悪くねえが(40)出す気にはなれねえな」


「(40)なら問題ないと思うわ。ただ水なんて飲めればいいって人は納得できないでしょうね」


 やっぱりそうか。そう考えればいろいろなことが納得できる。


「考えるにこの魔法でかかる魔力は『多くの人が妥当と思える価格』じゃないでしょうか。どの程度の大きさの集団から認識するのかは分りませんがたぶん間違いないと思います」


「なるほどな。その可能性は高いな」 


「ミリアの魔法で分からんのか?」


「ごめんなさい、私の詳細分析(ほりだしものさがし)じゃあそこまでは分からないの。

もっと上位の絶対分析(ストーカー予備軍)究極分析(真性ストーカー)なら分かるかも知れないんだけど……」


 なにその魔法、絶対受けたくない。


「まぁたぶん合ってるから受けなくていいよ。それに正確に分かったところで特に使い道も浮かばないしね」


「それもそうね。じゃあもうそろそろ失礼しようかしら」


「俺もこの後仕事があるからそろそろ行くぜ」


「今日はありがとうございました。また食べに来てくださいね。

はい、ミリアとアスにはお土産のリンゴ」


 今日はグランさんがいるからドアが使われるんだぜ。

な……グランさんも一緒に転移した……だと?

アスはまだいるからドアから出て行ってくれるんだね。


「サイトウよ、そなたは重大なことを忘れておるのではないか?」


「なんだっけ?」


「このまま一人で明日も店をやるつもりか?」


 しまった。魔法のこと考えてて店のことすっかり忘れていた。


「顔が忘れておったと語っておるわ。どうだ、サイトウが望むなら……我が手伝ってやらんこともない……ぞ?」


「えっと、一応王族なんだよね?」


「一応とはなんだ一応とは。なに、この森の王子や王女は民を知るため森を自由に回り民と交流をするのだ。それに食文化を発展させるのであろう? その手伝いをすることは森のためにもなる」


 いいのかな? まぁ後がないのは事実だし本人も乗り気だしお願いしよう。


「本当にうれしいよ。ありがとう」


「ミリアが一番目に食べに来たことよりもか?」


「もちろんだよ」


「そうかそうか。ふふふふ。感謝の気持ちを込めて撫でるがよい」


 ほんとにいい子だよなぁ。感謝の気持ちを込めて撫でさせていただきますとも。


 そうしてしばらくの間にこにこしているアスを撫でていた。



※よろしければ評価・感想・ご意見などお願いします。していただけると白かぼちゃが喜びます。

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