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むりやり自宅警備員  作者: 白かぼちゃ
おいでませ、ベイビーバード
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ベイビーバード、本日開店でございます。

わーい、わーい。

宣言通り喜んでおります。

……一体なにが起こったんでしょう?

見てみたらログインし直すぐらいポイントが増えておりました。

夢じゃないんですよね?

過大評価していただいている感が満載ですがこれからも頑張らせていただきまのでよろしくお願いいたします。

 突然ですがみなさんは至高の朝食というものをご存知でしょうか?

熱きご飯と卵が織りなすハーモニー。そう卵かけごはんです。

こだわりでただの醤油ではなくだし醤油。朝っぱらから満足です。

ただ卵がやけに高めなのが気になりますが……。


 いよいよ今日が開店の日だ。

ミリアがちゃんと報告に来てくれたので宣伝は問題なし。

仕込みも済んだし看板も立てた。

えっと、もうやること残ってないよね?

掃除もしたし……もう一回しとくか。





 さて、することがなくなってしまった。

まぁもう少しで昼だし座って待ってるか。


「……魔法発動、切り花――タンポポ(50)」


 お客さんが来る、ぷちっ。あんまり来ない、ぷちっ。まったく……


「こんにちは、それはなにをやってるのかしら?」


 ……後ろから声が。彼女しかいない。

見られた、もうおしまいだって? 否、ごまかしてみせる。


「こんにちは、これは店に飾るために花びらのバランスを整えているんだ」


「花占いなんて久しぶりに見たわ~」


 もうおしまいだ。


「……どうしたの?」


「ご飯を食べに来たのよ~。私が一番ね~」


 うれしい。うれしいんだけど……。

ドアから入って来てほしかったと思ってしまうのは贅沢なのでしょうか?


「ありがとう。

改めまして、いらっしゃいませ。『ベイビーバード』へようこそ」





 とりあえずカウンターに座ってもらいメニューを渡す。


「ご注文は何に致しましょう?」


「そうね~、おすすめは何かしら?」


 あなたのためのメニューがありますとも。


「きつねうどんがおすすめですね」


「じゃあそれをもらうわ~」


「はい、ではしばらくお待ちください」


 厨房に戻りだしを加熱する。この3日間たくさんの料理を作り改良を重ねたが、その中でも一番力を入れた自信作だ。

どれぐらいって力を入れたかってしばらくうどんは食べたくないぐらい。


 ……よし今がアルデンテだ。うどんだろうがアルデンテだ。


「はい、お待たせしました」


「ありがと~。いただきま~す」


 油揚げがたっぷりだしを吸い、立ち上る湯気がいかにも食欲をそそる。俺はまったくそそられないけどね。


「ん~、おいしいわ~。しあわせ~」


 蕩けそうな笑顔でうどんを食べる姿はこっちまで幸せな気分にさせてくれる。

それこそその笑顔を見ただけで飲食店にして良かったと思えるほどに。


「サイトウよ、来てやったぞ!」


「いらっしゃいませ。ありがとね、アス」


 ところが急に得意満面といったアスの表情が微妙に曇る。


「なんでミリアがおるのだ、昼からだったのではないのか?

せっかく一番に来て喜ばせてやろうと……」


 まあ時計もないから大体での昼だしね。

それにしても最後の方なんていったんだろ? うまく聞き取れない。


「とりあえず座ってよ。はい、こちらがメニューになります」


 メニューを見るアスの百面相が面白い。

「こんな料理があるのか……」とか言ってるし案外グルメなのかな?


「ではこのハンバーグというものをそうだな……2個ほど頼む」


「はい、しばらくお待ちください」


 作っておいた分を焼きソースをかける。

表面からあふれ出る肉汁がフライパンで跳ねる。うーん、いい音だ。


「はい、お待たせしました」


「うむ、おいしそうだ。では頂くとしよう」


 一口食べた……ん? 動きが止まった。

……と思ったらすごい勢いで食べ始める。えっと、のどに詰まらせないようにね?


「なんということだ! 肉をそのまま食すのではなく潰して混ぜ合わせるとは!

それにより肉汁のうまみを配合するだけでなく様々な食感を楽しませるのか……!」


「そうなんだ。よくわかったね。」


 ……ごめんなさい。そこまで考えてませんでした。


「おう、邪魔するぜ!」


「いらっしゃいませ。

グランさんじゃないですか、来てくださってありがとうございます」


「なに、俺が来たくなったから勝手に来ただけだ。

こいつらもよろしく頼むぜ」


 外を見ると直立二足歩行モグラ――略して直立モグラがわんさか。

これ、さばき切れるかな?


 ……修羅場一丁はいりまーす。





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