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むりやり自宅警備員  作者: 白かぼちゃ
はろう、異世界
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サイトウはミリアの胃袋を捕まえた。

 おはようございますみなさん。

今日から第二次開店準備です。

柄にもなく早起きしてしまいまるで遠足の日の小学生の気分です。


 


 目が覚めるとさっさと布団の魔力を振り払い顔を洗う。

なんというやる気。まるで入学したての学生のようだ。

バナナさん、毎朝お世話になってます。


 ではさっそく始めますか。

昨日のうちに考えておいた計画通り足りない分の机や椅子、グラスや皿など店をやっていく上で必要なものを出していく。ちなみに椅子は高さが変えられるタイプだ。

費用はかさむが仕方あるまい。もし座って机に届かない人がいたら不憫すぎる。


<魔法のレベルが上がりました。食料の創造範囲が広がります>


 突然頭の中に声が響く。

そういえばセラさんが使っていけば出せるものが増えていくっていてたっけ。

とりあえず確認してみるか……。


 




 来た、来ましたよ俺の時代が。

みそにしょうゆ、各種調味料にうどん、そばなどの麺類。

今まで失っていた日本人のアイデンティティを取り戻そうではありませんか。

俄然昼飯が楽しみになってきた。

さて準備を再開しますか。

 




 ……こんなもんでいいかな。

内装はできたし次はメニュー作らなきゃ。

誰に相談しよう……。


 やっぱ何でも知ってそうだしミリアにするか。

どうせなら試食がてら昼飯も食べてもらおう。油揚げが好きという発想は安易かなぁ?


 プルルル……


「もしもしミリア?」


『あらユウくんじゃない、どうしたの?』


「今時間ある? そろそろメニューを作りたいから相談にのってもらおうかと思って。

よかったら昼食ご馳走するよ」


『うれしいわ~。もうしばらくしたら行くからおいしいご飯期待してるわ~』




 良かった時間あるみたいだ。じゃあ油揚げ使った和食作りますか。

ご飯、味噌汁、焼き魚。定番は外せないとして……やっぱ稲荷ずしだよね。

あと漬物。と言ってもキュウリを塩で揉んだだけ。調理実習でキュウリを壊滅させたのはいい思い出です。


 炊飯ジャーなんて便利なものないから深鍋で米を炊く。魚は塩をすり込んで、曰くつきの七輪の上において準備だけ。油揚げを少しゆでて油抜きして煮汁に入れて煮込みその間に味噌汁の準備……。

聞こえるのは煮込む音と包丁の音。


 コトコト…… 

 トントン……


 そう、これぞ日本。和むわー。

おっと酢飯だけは冷ましとかなきゃ。







「こんにちは~。お店、いい感じになったじゃない」


「ありがと。もうできるからそこに座ってて」


 魚を焼き始めてと。作っておいた稲荷ずしを出しておく。


「はい、これ。魚が焼けるまでもう少しかかるからそれ食べてて」


「変わった食べ物ね~。じゃあいただくわ」


 パクッ……ピン! 


 おお……耳が立ちましたよ。


 パクパク……コクン


「ユウくん、メニューのことだけどこれ一つでいいんじゃないかしら?」


「いやいやいや、それはまずいって」


 安易な発想の勝利ですね。とりあえずメニュー第一号決定かな。


 「じゃあ魚見てくるから」


 言ったときにはもう二つ目に取り掛かっていた。

あそこまで幸せそうに食べてくれると嬉しいなぁ。





「はい、お待たせー」


 できた料理を持っていくととても満足そうなミリアがいた。

あの、これがメインなんですけど。


「あら、東方の国の料理に似てるわね」


「そうなの? そっちの方にも土地がほしいな」


「じゃあ東方の出身じゃないのね?」


 ……しまった。


「えーっと……」


「大丈夫。この森にはそんなこと気にする人はいないわ。話したくなったら話してくれればいいのよ」


「ありがとう。でもいつか話すからね」


「ふふふ、じゃあ冷めちゃうから食べましょうか。いただきま~す」


「いただきます。東方にはこの習慣もあるんだね」


「そうよ。ん~、おいしいわ」









「ごちそうさま、おいしかったわ」


「お粗末さまです」


 綺麗に食べきってもらえるとうれしい。なんだかやっていけそうな気になってくる。


「でもやっぱり始めに食べたのが一番おいしかったわ~」


「稲荷ずしですね。まだありますからよければ持ってきま……」


「お願いするわ」


 最後まで言わせてもらえなかった……。

持ってくるとまたおいしそうに食べてくれた。

これならまた食べに来てくれそうだ。


 <サイトウは常連候補を手に入れた>


 自分でナレーションしてみる。 





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