ちんぽは燃えているか?
私は、見苦しい長髪の男であります。
会社では、髪を寄附するためなのです、などと言ひ張つてゐるけれども、いつたい、私の伸びすぎた体毛なぞ、誰が欲しがると云ふのだらう。その髪を伸ばすために、私は加美乃素本舗の、ヘアアクセルレーターEXといふ薬を使つてゐる。
これで髪が伸びてゐるのかと問はれれば、正直なところ、よくわからない。けれども長髪の者の宿命である、あの頭皮の痒みが一撃で退散するのは、まことに有難いことであつた。
先日も私は、これを頭にちよんちよんと塗つてゐた。ひどく暑い日だつたので、私は全裸であつた。
ところで、私は重い仮性包茎である。つまり、ちんちんもまた痒いのである。裸の私が、この薬をちんちんにもちよんちよんと塗つてみようと思ひ立つたのは、ほとんど自然の成り行きと云つてよく、私の知能がチンパンヂイに近いといふこととは、何の関係もないのである。
その結果、ちんちんは火のついたやうに熱くなり、私は寝台の上でのたうち回つた。奇声を発しながら、GATSBYの汗拭きシイトでちんちんをこすり上げると、今度はすうすうと冷えはじめ、私は全身をがらがら蛇の尾のやうに震はせ、ここは極寒のアラスカではないのかと幾度も自分に問ひながら、風呂場へ這つて行つた。このことに、私は何の責任もない。私が無辜の被害者であることは、読者諸君もきつと深く頷いて下さるに違ひない。私は有能な弁護士を探し出して、訴訟を起こすつもりである。だが、いつたい、誰を?
自分を欺くのはこのへんでやめにして、私がひどく愚かで、チンパンヂイに近いどころか、たいていの場合はチンパンヂイのほうがよほど賢く振る舞ふのだといふ事実を正面から見据ゑた上で、もう一つ話をしよう。
昔、私は、大便がなかなか拭き取れないのは尻の毛が多いせゐだと結論し、肛門のまはりに除毛クリイムを塗りたくつたことがある。
これは初めのうちは上手くいつた。尻はすぱりと拭けるやうになり、私の暮らしはにはかに明るくなつた。けれども、金を惜しんだ私は、まるで麻薬に溺れて身を持ち崩す米国の若者のやうに、安物のクリイムに手を出した。しかも塗つてゐる最中、ぶらぶらと揺れるきんたまにクリイムがついたのを、面倒くささから放つておいた。きんたまはソフトボオルほどにも腫れあがり、私は絶叫してのたうち回つた。きんたまの皮は真赤になつて、さながら林檎のやうであつた。翌日、私は「腹部周辺に関はる重大事案」と届け出て、会社を休んだ。
どうやら私は、知らず識らず自分のちんちんをいぢめ抜く、真性のサディストであるらしい。そのせゐで私のちんちんは、包皮の奥に引き籠もる、ハイド・オブ・おちんちんになつてしまつたのではあるまいか。
健全な精神は健全な肉体に宿るといふ。このハイド・オブ・おちんちんのために、私の精神はねぢれ、歪みきつてしまつたのではあるまいか。
そしてその果てに、おちんちんだの肛門だのきんたまだのと、眼を血走らせてインタアネットに書き散らす、中年男になつてしまつたのではあるまいか。
──諸君。若いうちに、ちんぽの皮は切りたまへ。かうなつては、いけない。




