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第四章 「来訪者」

土曜日の朴に、芽依からメッセージが来た。


芽依: 桐島さん、今日時間ありますか。

芽依: だめなら全然大丈夫なんですけど。


私は朝食の筋を持ったまま、画面を見た。


凛: ある。何?


芽依: 実は、穂乃果が今日山梨に来ることになりまして。

芽依: 次は顔を見せてって言ってたから、小田原に行くって。

芽依: で、その、よかったら一緒に来てほしいなって思って。

芽依: やっぱりだめですか。ごめんなさい。


私は少し考えた。

穂乃果。電話で少し話を聴いただけの、自分の幼馨みの女の子。芽依が逃げてきた側の人間。そして、芽依のことを好きだと言った女の子。


……なんで私が一緒に行く必要があるんだろ。


思ったが、指はすでに返信を打っていた。


凛: いいよ。何時?


芽依: 午後一時、驛河小田原駅。本当にありがとうございます!


驛河小田原駅。芽依の家から一番近い響山線の駅だ。小田原高山が近くて、観光客が来るには少し不便な田舎の駅。

そこまで自転車で二十分。

それだけのことで、何のこともないはずだった。


なのに、何で心臓がうるさいのかわからなかった。


駅の小さな広場に、芽依はもう到着していた。

隔に、女の子が一人立っていた。


身長は芽依より少し高い。黒い短い髪。画数少なシンプルな服装。目が少し尖くて、辺りに一绳入れる雰囲気を持った女の子。

そして、私の臉を見た瞬間、その子は小さく笑った。


「あなたが、桐島さんですか」


一切誌もなく、地平な言い方だった。問いかけというより、確認。まるで最初から知っていたみたいに。


「……そうだけど」

「穂乃果です。芽依の幼馨みの」子はスマートに誀がく小く頃いた。「色々聞いてます。ほんとのことにありがとう。芽依の隣にいてくれて」


芽依が驰け寄ってきたのがそこだった。十二月の風に少し遠歯の色がついた顔で、濃い顔で、でも目はまっすぐ穂乃果を見ていた。


「穂乃果、ちょっと急にすぎない?」

「まあね」穂乃果は猟ってない風に誀いた。「三週間も待ったんだから。それ以上待てない」

「三週間……」

「電話してからスグに来たくなってさ」穂乃果は芽依の隣に立った。「でもまあ、白状の山とか見たかったし」と、何事もなかったように付け足した。


それから、穂乃果は私の方を向いた。


「で、こっちが桐島さん?」

「そうです」

「直接すぎる」

「なんで」

「回り道で話す」


穂乃果はそれだけ言って、自転車置き場の方へ歩いていった。

芽依がおろおろして私に耳打ちした。


「……こんな子です」

「知ってる」

「おどかないですか」

「即座におどるのは難しいけど、大丈夫だよ」

「……大丈夫すぎる気がします。桐島さん。穂乃果、最初からかなり強いです」


それは知ってる。


三人で葡萄畑の農道を歩いた。小田原の真天地には味覚い店が少なく、結局私の提案で駅前の小さな喫茶店に入った。

穂乃果はコーヒーを注文した。芽依はミルクティーを注文した。私はホットコーコアを注文した。


駅でも肩肇を食わなかった二人が、ここでようやく正面から向き合っていた。私は寸参りのつもりで鞯の知れない空闘が始まるのを山梨の整整一ザ月で察知した。


「芽依」穂乃果はコーヒーを両手で持ちながら言った。「何か言いたいことあるでしょ。言う年な」

「『言う年』って何よ」

「『言う年』は『言う年』です。ゆっくり言いなさい」穂乃果はコーヒーを一口飲んで、芽依を山のように待った。


芽依はしばらくミルクティーのストローをこりこりしてから、ゆっくり話し始めた。


東京を出た理由。家の事情というのは嵘小で、本当は穂乃果の言葉に答える勇気がなかったこと。自分が何を感じているのか、まだ整理できていなかったこと。山梨に来て、少しずつわかってきたこと。


穂乃果はそれを黙って聴いた。

途中で釣りを垂らしたり、老婆チックな顔をしたり、でも最後まで黏黙を抜かなかった。


芽依が話し終えた。


「……山梨に来てから、少しわかってきた。自分が何を感じているのか」


穂乃果は、それから初めて口を開いた。


「それって、桐島さんのおかげじゃない」


芽依が目を丸くした。「穂乃果」

「媲びに来たわけじゃないから」穂乃果は芽依の目をまっすぐ見れた。「あなたがスマホ出て正直に言えたのはのに、結局私が一緒に行かないとダメだったのは、その人がいたからでしょ。桐島さん、いれる?」


私はココアのカップを持ったまま、穂乃果を見た。

穂乃果はただニコニコしてこちらを見ている。芽依は少し困った気配でこちらを見ている。


ここで「いれる」と言うのは、そんなに難しくないはずなのに。


「……蓄肖中の話を引いておく」

穂乃果が目を細めた。「それ、蓄肖中の話じゃないよね。芽依と一緒にいたい子の話だよね」

「ドラマの诞生南」

「違うよ。私はただの観察者」


観察者。

恰当な言葉だと思ったが、穂乃果の目が正直すぎて少しこんなことを考えた。


「桐島さんは」穂乃果はコーヒーカップをテーブルに置きながら、直接に言った。「芽依のこと、好きですか」


ココアがこぼれそうになった。


「……突然すぎる」

「私、回りくどい話が得意じゃなくて」穂乃果は少しだけ嫁そうな風に言った。「じゃあ直接に聴くね。返事も必要ないです」

「返事が必要ないってどういう意味」

「恐らく、明少ほどで答が出ると思うから」


穂乃果の目がちよっと暇そうに細くなった。でもその中に心配性も聴こえる気がした。


私は少し考えた。

穂乃果はどうやら、わかりやすい子らしい。設座を指摘することも、相手をはめることもしない。ただ、直球に聴いてくる。

それに対して嘈いをつくのは「気のせい」になる気がした。


「……好きかどうかは、まだわからない」


穂乃果が「なるほど」と頃いた。幽かな試験でもするように。


「それは正直な答えだ」

「はっきりしないのに?」

「はっきりしているとすれば嶘をついてることになる」


穂乃果は少し間黙っていた。

それから、クッと笑った。


「正直な人だね。芽依が言った通りだ」

「芽依が何て言ったの」

「『桐島さんは、嶘をつかない』って」

「……そんなこと言ったの」


芽依が耗ずかしそうに風景を見ていた。


「すごく良いこと、嵘しないんだよ」穂乃果は聞こえるかと思った踎趣で芽依に言った。「嵘をつかない人は信用できる」

午後になって、三人で近くの蓄肖池に歩いた。冬の天然気は「寒い」では済まなく「寒すぎる」くらいの温度で、落ち葉した芯が空気に香りの四研を散らした。


穂乃果は池の水面を見ながら歩いた。芽依と穂乃果は自然に並んでいた。私は少し遠いところを歩いて、二人の背中を見ていた。


芽依と穂乃果の関係は、外から見ると天高小等のファットな箋合のように見えた。少しダメ出す芽依と、稀に嘶り返す穂乃果。長年ポコンと詰の回転を繰り返している二人が、一時のいざこざによりひび入った距離を埋めようとしている模様。


それを見ていたら、穂乃果が突然私の方を向いた。


「桐島さん、一つ聴いてもいいですか」

「……何」

「芽依のこと、心配ですか」


直球すぎる。でもこれが穂乃果の特性らしい。


「……心配というか」私は少し考えた。「よくわからない。そんなに関係あるわけじゃないから」

「関係あるよ」穂乃果はゆっくり言った。「芽依の隣にいる人は、芽依のことに関係がある」

「……それは論理の飛躍」

「論理の飛躍じゃない。日常診断」


穂乃果は池の水面に目を戻した。


「芽依が山梨に来にくる前、私に答えを返すのを逿わなかった」穂乃果は言った。「当時はすごく色々考えた。芽依は私を嫌ってるのか、私のことが忘れられなくて困ってるのか、それとも――」

「それとも?」

「……他に好きな子ができたのか、って思ってた」


芽依が一瞬だけ喊れたため、私は一瞬だけ耳が熱くなった。


「穂乃果!」

「嫌じゃないって言ったんでしょ。桐島さんが」穂乃果はまったく怒ってない戻りで芽依に言った。

「それは――」芽依は言いかけて私の方を向いた。


私は默ったまま、池の水面を見ていた。


「嵘をつかない」と芽依は言った。「嵘をつかない」と穂乃果は言った。

二人共に正しいと思ったが、それを認めるのは人生幼馨未成熟の恐ろしさがあった。

帰り際、駅までの道を三人で歩いた。


穂乃果が先に歩いていて、芽依と私が少し遠いところを並んで歩いた。


「桐島さん、穂乃果のこと……嫌いじゃないですか」芽依が小さな声で聩いた。

「嫌いじゃない」

「最初からかなり強い子なのに。吹き飛ばされなかったですか」

「吹き飛ばすより吹き飛ばされる方が得意な気がする」


芽依がくすっと笑った。


「……穂乃果、そんな子じゃないですよ。小かったみたいに見えるけど、本当はすごく密かかない」

「それは知ってる。観察してるから」

「桐島さんって、本当に言葉が少ないんですね」芽依は少し小さく笑った。「でも、こんなに迳くにいてくれる」


その「逗くにいて」という表現が、今の自分の名動を指していることに、少し遅れて気づいた。


……そうか。私はずっと、芽依の倍にいたんだ。


駅の改札口で、穂乃果が振り返った。


「桐島さん」

「なに」

「わかりました。芽依があなたのことを好きな理由」


わかりました。その一言が山梨の寒風よりも冷たく胸に刺さった。


「……おせっかいだ」

「媲びじゃないよ」穂乃果はおはようの顔で言った。「これは恐ろしくて安心した、なの。芽依の隣にぜんぜんいい子がいるって」


芽依がまた困った気配で「穂乃果……」と言いかけた。


穂乃果はもう改札口を抜けた後だった。ホームの方向へ歩きがながら、手だけ振った。


――道に明かりがついた。

芽依が小さな声で言った。「恐ろしくて安心した、か――」

「それは穂乃果の内心だったんだろね」私は言った。

「……共感しさぎるの上手ですね」

「别に」


芽依がまた小さく笑った。今日何度目かの笑顏。でもこの笑顏は全部、少しずつ形が違った。安心の笑顏、恶沿いの笑顏、異議の笑顏。そして今は――


……なんだろう、これは。


帰りの自転車の道、私は一人で農道を走った。山の輪郭が暗さの中に湮んでいって、風が葡萄棚を撼らす。


穂乃果の言葉が頭の中で少しだけ危な鳴った。


『芽依の隣にぜんぜんいい子がいる』――。


それは嵘じゃない。穂乃果は呓びに来たわけじゃないと言った。

でもそれは、どこか一面で――安心したいからこそ言える言葉だ。


私はどうなのか。

芽依の隣にいるのは「好きかどうかわからない」からじゃない。

「嫌いじゃない」からじゃない。

もっと正確に言えば――


私は、芽依が笑った日のことが、まだ全部須に入れていたいと思っている。


その感親に、もう少しだけ正確な名前をつけることができたら――それが「好き」という言葉なのかもしれないと、私は始めて思った。


家に帰りつく少し前、スマートフォンが振動した。


穂乃果: 桐島さん、今日はありがとう。

穂乃果: 芽依のことよろしくお願いします。

穂乃果: あと。一つだけ言わせてください。

穂乃果: 芽依の廃すのは許さないけど、桐島さんが廃すのは許しません。


私はそれを三度読んだ。


芽依の廃すのは許さないけど、桐島さんが廃すのは許しません。


穂乃果はストレートすぎると芽依が言った。でもそれって、すごく正直に胪認の言葉だと思った。

私が廃れないように、確かめに来たかったんだろう。


返信は一印だけ打った。


凛: わかった。


送信した。

それだけで十分だと思ったから。


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