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第5話 それでも生きている

「あっ、目が覚めました!大丈夫ですか?」


目を開けると、そこは知らない天井…ではなく、女の子の顔だった。


「ここは…、あなたは…」


「まだ起き上がっちゃだめですよ。順に説明していきますから」


「はい…」


それにしてもきれいな女の子だな。


年頃は僕と同じくらい。端正な顔立ちと金色の髪、それを隠すようにシスターでも被るようなフードを被っているのが特徴的だ。


でもずっと目を瞑っているのはなぜだろう。


その女の子の名前はミリアというらしく、教会で働くシスターだそうだ。やっぱり。


僕がたどり着いたのはワルート島という、どこの国にも属していない島国の海岸だった。


そこを通りがかった人が僕を発見し、この教会まで運び込んだのだそうだ。


このワルート島は僕がいた王国ー聖カリファ王国ーからは船で1週間かかるそうだ。


じゃあ、あいつらと会うこともなさそうだ。


そして、運び込まれてから僕は2日間も眠っていたそう。


後で食事を持ってきてくれた別のシスターいわく、ミリアは家にも帰らずずっと看病してくれていたらしい。


流れ着いてから僕は高熱を出していたそうで、顔の火傷痕と合わせて治療にあたってくれていたようだ。


その証拠に顔の半分には包帯が巻かれている。片目は見えていない状態だ。


「それはありがとうございます。助かりました」


座ったまま深々とお辞儀する。


「顔を上げてください!逆に謝らなければならないくらいです。治療もこれくらいしか出来なくて…」


なんて慎ましい子なんだミリア。


僕は思わずミリアを抱きしめて、ありがとうを告げたのだった。


「あっ」


セクハラしてしまった。


慌てて離れてごめんなさいを告げる。


なんだかな。久しぶりに人の優しさに触れて嬉しかったようだな。


「い、いえ…、うれしい…です…」


ミリアは頬を赤らめてクネクネしている。


あれ、思ってた反応と違うな…。


「あれ、ミリアさん。目が…」


「…?さんはやめてください!ミリアでいいですよ。目ですね、見えてませんよ」


やっぱり。ずっと目を瞑っているからもしかしたらって思ったんだ。


「そうだったんですね…。でもなんだか…」


「見えていますよ全部」


???


なんでも魔力探知スキルで服のシワまで見えているそうだが、文字や色は見えていない。


さすがは異世界。白杖はいらないようだ。


って、僕の顔まで見えているということだろうか。


「はい!見えていますよ!」


「ああ、変じゃないですか?僕の顔…」


「いえ…、その…凜々しいお顔ですよ…」


きゃーはずかしい、と言ってまたクネクネしている。


りりしい…


かわいい人だな…。


初めて会う人だが、雰囲気が好きだな。


ここが二人きりだったせいかおかげか、日が沈むまで僕はこの世界について、ミリアは僕のことについて会話が続いた。


――――――――


次の日


「ここが朝市ですか」


「そうです。新鮮なお魚やお肉、お野菜が並ぶんですよ」


朝早起きしてミリアと一緒に市場へ来てみた。


屋台もあるようなのでご馳走したいらしい。


「あ、おにーさん!噂の海の向こうから来たっていうお兄さんだろ?」


「ああ、はい」


こんな感じで目が合う人みんなから話しかけられる。


なんだここは。


「ふふ、タケルさんは人気者ですね」


「ちょっと!助けてくださいよ!」


ミリアはニコニコしているだけでもみくちゃにされている僕を助けてはくれない。


なぜこうなっているか。


それはこの島の古い言い伝えが原因だそうだ。


この島は昔、魔族によって支配され、長く人間は虐げられていたそうだ。


そこに来た異邦人が魔族を滅ぼし、現在まで続く平和な島を取り戻したそうだ。


ということで、島外から来た人をもてなしたくてしょうがないらしい。


まず島外から来る人もとても少ないが、その昔話でも魔族を滅ぼした人物は漂着したらしい。


それもあって同じ境遇の僕が半ば神聖視されているわけだ。


現地人の興奮も落ち着き、解放された僕らは屋台で遅めの朝ご飯を食べる。


「この串焼き美味しいですね!」


「ええ、そうでしょう?ここは一番美味しい屋台だと思ってます!」


なぜ彼女がドヤ顔なんだろうか?


まあ、かわいいから良しとしますか。


「教会にタケルさんの部屋もしつらえましたし、これからどうするおつもりですか?」


「そうだなあ、文字の読み書きとか覚えたいですかね。あと戦う術を」


「島の外でいう冒険者になるんですか?」


「いや、島を出るつもりは今のところありませんよ。ただ、守りたいものができたから…」


「それって…」


「君のことだミリア!」


するとミリアは目を見開いて驚く。白く濁った瞳が虚空をさまよう。


そう。だから。


「君の目になり、手となりたい。いや…かな…?」


僕は昨日からミリアにぞっこんだった。一目惚れと言ってもいい。


断られてもいい。そういう気持ちで、告白したのだ。


「あの…その…。………はい」


ミリアは今度はクネクネせず、しっかりとこちらを向いて答えた。


その日からミリアは僕と行動を共にするようになった。


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