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第10話 冒険のはじまり

久しぶりの更新になります。

これからは無理なく更新し続けますのでよろしくお願いします。

船旅は順調そのものだった。


魔物が出てくるとかイベントは"全く"起こらず、聖カリファ王国とは島を挟んで正反対に位置しているスーリニア王国の港町、ベックに到着した。


「はあー、ようやく陸地だ!」


「なんだかまだ揺れてるみたいです…」


船が到着してなお、船乗りたちは積み荷の荷下ろし、積み込みに、掃除に忙しそうだ


しかし海上とは違って潮風が心地よい………


「ウップ…」


…ミリアは船酔いが続いているようだ。


「ミリア大丈夫?」


「だ、だいじょうぶです…、こんなときに役に立つ…ウップ…ま、魔法があるので…」


そう言うとミリアは自分の体に何やら魔法をかけた。


「ふう…」


「大丈夫なのか?」


「はい!元気いっぱいです!」


その変わりようが恐ろしいのだが、元気になったなら良かった。


「ほう、さすがミリア殿、酔い醒ましの魔法まで使えるとは」


「アリルさん!今回はありがとうございました!」


「いえいえ、しかしお二人の旅路はこれからですぞ。このベックの町はこの国でも上から数えた方が早いくらい大きな町です。ここで旅の準備を整えることをおすすめしますよ」


なんとも心の広い人だ。


「船旅の途中ではアイテムボックスのスキル習得にも手伝って貰いましたし、なんとお礼を言えばよいやら…」


あ、そうだ、ミリアの口添えもあってアリルさんのアイテムボックスに触れることができたのだった。


習得までは3回も手を入れることになったが…


「ありがとうございました!」


「いえ習得できたのはタケルさんの素質があったからですよ。キリカなんて事あるごとに挑戦してますがダメだそうで」


「ご主人!それは言わない約束だろう!?」


キリカさんがなにやら慌てている。よっぽど習得できなかったのが悔しいのかな。


そう、船旅の間アリルさんにミリアと頼み込んでアイテムボックス習得に挑戦したのだ。


「はっはっは、いやしかし、タケルさんのアイテムボックスの広さは目を見張りましたぞ。この船ならすっぽり入りそうな感じがあります」


「いつか冒険の成果でいっぱいにしたいですね」


「それはいい。良い夢ですな…」


「はい。私とタケルの夢です」


「では引き留める理由は何もありはしませんな。お二人ともくれぐれも気を付けて」


「そうだぞタケル。ミリア嬢を守れるのはお前しかいないんだぞ!しっかりな…」


二人から改まって言われると、頑張らねばならないと気を引き締めざるを得ない。


ミリアは目の端に涙を浮かべていた。


「ありがとうございます。魔王を倒して島に変わらぬ平和を」


「ぐすっ…、アリルさん、キリカさんもお気を付けて」


二人は僕らが人混みに紛れて見えなくなっても手を振り続けていた。


僕らは前を見て歩かなければいけない。魔王を倒すまで。


――――――――


「行きましたな」


「そうですね…」


「キリカはどう思う?あの二人について」


「ふっ、まあ長年冒険者をしていた私に言わせれば…」


「言わせれば?」


「世界を救った勇者に勝利したことのある女騎士として語り継がれるのが楽しみ…と言ったところでしょうか」


「ほほう、そこまで…」


「ええ…」


「…しかしキリカは魔族に勝てるとは思うが、魔王は無理なのか…」


「やってみなければわかりませんが、無理でしょう」


「…この世の未来はあの二人が握っていると」


「タケルの成長スピードは、はっきり言って異常です。この私が恐ろしいと思うほどに」


「ほほう…」


「ま、ミリア嬢がうまく導いてくれるように願っていましょう」


「そうだな…」

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