8話 新たな壁
医学魔法大学院転入試験とは、戦闘形態で行われる1体1のパーティー戦である。
合格ラインは大学院生に勝つこと。ただそれだけ。だがそれはとてもハードルが高い。俺とカナのパーティーは攻撃魔法がカナしか使えない。俺は一体どの役割担うことができるのか見当もつかない。
そんな中、詳しい説明を聞いていた。
「でもね。何もかも生徒の好き通りにさせるわけには行かないから、ポイントの基準を下げようと思ってね。」
「なるほど。何ポイントになるんですか?」
「一応10000まで下げようかなって思っててね」
基準のポイントが10000に下がったということは後一つだけBランク任務を受ければ基準を満たすことができる。
俺たちはすぐさまBランク任務を受ける事にした。
多少のBランク級の魔物と遭遇はしたが、特に問題なく順調に任務を進めた。
「カナ! 魔物が来る! おそらくBランク級だ!」
「わかった!」
大地を駆け抜ける馬車を体で受け止めるかのように魔物が姿を表した。
「任せて! はぁっ!」
カナは自ら自分の足を身体強化し、目に負えないほどのスピードで魔物を蹴り撃退した。
そして王都に戻ることができた俺たちは報酬を受け取り、2人とも基準のポイントを上回ることが出来た。
「後は、転入試験を受けて大学院生を倒せば良いんだよね」
「そうだが、それが一番問題だ。どうやって戦う?」
「私の身体強化をメインで戦う感じだよね」
「そうだな。とりあえず転入届を出そう」
転入試験を受ける為職員に転入届を提出し試験日は1ヶ月後と告げられた。
「後1ヶ月時間がある。焦らず作戦を立てよう」
「うん。とりあえず私の身体強化でダイスくんの戦闘能力を上げれるようにしなきゃね」
「慣れるまでも時間がかかるがそんなに焦る必要はまだない。落ち着いてゆっくりやろう」
「わかった!」
俺たちは1ヶ月かけて、作戦と特訓を繰り返すことにした。
転入試験の対戦相手は試験当日に発表される。おそらくどの相手も優秀なパーティーだろう。中には医師として召喚されている者や、王都最大の病院の後継の者もいるらしい。
どちらにしろ出鱈目に戦って勝てるような相手じゃない。間違っても魔物と戦うような戦闘方法は避けるようにしなければならない。
それに、戦闘において唯一の取り柄であった俺の魔感が通用しない。魔力を消費しているわけではないが、今の俺の状態は剣を折られた剣士と同じだ。
このままの手ぶらの状態で試験に挑むわけにはいかない。
そこをどう補うかが俺たちの勝敗を左右するだろう。
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