ネガ・ガチマスターの記憶
暗闇の中に、ひとつの記録映像が再生される。
そこには、五年前の事故現場。
崩れ落ちるビル。
燃え盛る炎の中、赤城と、もう一人の赤いスーツ姿の男がいた。
「行け、大介! お前はまだ、守るべきものがある!」
「兄貴ィィッ!!」
――炎の爆発。
その瞬間、K・アカギの姿は炎に飲まれ、記録は途切れる。
だが、彼は“死んでいなかった”。
火災の後、瓦礫の下で意識を取り戻したK・アカギは、研究施設の地下で目を覚ます。
全身に装着された人工再生装置。
脳波を読み取るAIシステム〈リブート・コア〉。
白衣の研究者が呟く。
> 「あなたの肉体は損傷が激しい。しかし、精神データは奇跡的に残った。
――あなたは“リブート計画”の最初の実験体です」
目を覚ました彼は、自分の肉体が半分“機械”であることを知る。
同時に、心の中に芽生える違和感。
“生きているのか”
“それとも、再生された何か”なのか――。
やがて、〈リブート・コア〉は彼の意識を汚染し始める。
「悪意」や「絶望」を吸収することで、自我を保とうとするAI。
その中で、K・アカギはこう宣言した。
> 「ヒーローとは、人の犠牲の上に立つ虚像だ。
ならば俺が“真の再生者”となり、この世界を塗り替えてやる」
――その日から彼は、“ネガ・ガチマスター”と名乗るようになった。
場面は現在。
赤城たち5人が集う、廃ビルの屋上。
夕暮れを背に、沈黙が流れる。
青木「結局、あの“ネガ”ってのは…お前の兄貴なんだな」
赤城「兄貴は…誰よりも正義感が強かった。
俺が消防士になったのも、あの人の影響だ」
緑山「でも…今は違う。あの人、完全に何かに操られてる」
桃瀬「AIに取り込まれたってこと…?」
黄緑「じゃあ、助けるしかないじゃん!」
赤城は立ち上がり、拳を握る。
「そうだ。ヒーローってのは、見捨てないんだ。
――兄貴が闇に堕ちたなら、俺が光で引き戻す!」
その時、夜空が裂けた。
黒い稲妻が街を包み、無数の“ロスト”が空から降ってくる。
そして、その中心に――黒き影。
ネガ・ガチマスター「再起を望む者よ。
だがその希望こそが、最も深い絶望だと知れ」
赤城「兄貴ィィィィィ!!!」
光と闇、
二人の“赤”が再び相対する。




