もう一人のレッド
ネガ・ガチマスター。
その名を、まだ誰も知らない。
だが――赤城大介の胸の奥では、
なぜか“懐かしい痛み”がざわめいていた。
「……どこかで、会ったことがある気がする」
そう呟いた瞬間、赤城のスマホが再び震えた。
表示された映像には、ノイズ混じりの声。
> 『……赤城……お前はまだ、ヒーローを信じているのか?』
赤城「誰だッ!?」
映像の中――黒いスーツ、そして、
ガチレンジャーと同じ形状のバックルを腰に巻いた男が映る。
ただ、その色は“漆黒”。
> 『お前たちは忘れた。
本当の“リブート”とは何かを――』
ノイズと共に通信が切れる。
残されたのは、ひとつの名。
> 【K・アカギ】
青木「アカギ? ……おい、まさか」
黄緑「同じ名前じゃん…!」
赤城の表情が固まる。
「K・アカギ」――それは、かつて同じ消防団にいた男の名前だった。
彼は五年前の火災現場で殉職したはずの、
もう一人の“赤い男”。
緑山「まさか…その人が、ネガ・ガチマスター…?」
桃瀬「でも、死んだんじゃ…?」
赤城は震える拳を握り締めた。
「――死んだ“はず”だ」
その夜、街の片隅でまたロストが暴れ出す。
光の戦士たちは立ち上がる。
だが、今度の敵はいつもと違った。
ロストの身体に、赤いスーツの一部――
まるで“かつてのヒーロー”の残骸が混ざっていた。
赤城「ふざけるな…! 仲間を、おもちゃみたいに使いやがって!!」
夜空に響く叫びと共に、
赤い光が弾ける。
赤城のスーツが、より深く、より燃えるような赤に染まった。
> 「――ガチレンジャー・レッド、リブートフォーム!」
炎の軌跡が夜空を裂く。
ヒーローたちの再起と、
そしてかつての仲間の“闇の再起”――。
二つの赤が、運命の線で結ばれようとしていた。




