第3話 「目覚めろ、五色の魂!」
まぶしい閃光が消えた時——
そこに立っていたのは、かつて夢を追いかけた五人の大人たち。
だが、今の彼らは…ただのアラフォーじゃない。
五色の光をまとった“戦士”だった。
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「……嘘だろ、これ。」
赤城大介は、自分の身体を見下ろした。
現役消防士らしい鍛え抜かれた肉体に、真紅のスーツがぴたりと張り付いている。
皮素材のツナギ風スーツは軽く、それでいて鉄板のような強度を感じた。
肩には金属プレート、背には風に揺れる長いマフラー。
——まさに、“レッド”の風格だ。
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その隣で、青木仁が淡々とポーズを取る。
「……なるほど。視界も動きも悪くない。射撃モード、起動できるか?」
彼は現役の警察官。
冷静沈着、無駄のない筋肉。
ブルースーツの腕部には、スナイパーレンズが装着されていた。
「おいおい、スナイパーまで完備かよ…本格的すぎだろ」
赤城が苦笑する。
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だが、次の瞬間——全員の視線が一点に集中した。
「ちょ、静……お前、それ……」
「え、なに?似合ってるでしょ?」
緑山静のスーツは、他のメンバーと微妙に違っていた。
腰から裾にかけて、スカートのように広がったフォルム。
しなやかな曲線を描きながらも、なぜか妙にフィットしている。
「……オネェ入ってるよな?」
「ちょっと何よそれ!性別とか関係ないでしょ、ヒーローに!」
「お、おう……まぁ、似合ってるけど……」
笑いがこぼれる。
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そして、目立つのはもう一人。
黄咲楓。
小柄なナースの彼女のスーツは、なぜか無駄にラインが強調されていた。
「ちょ、なんで私だけこれピチピチなの!?動きづらいんだけど!」
「いや…それ、走ると……」
赤城が目を逸らす。
「……視線感じるんですけど!」
「す、すまん、反射だ反射!」
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そんな中、最後に桃瀬桃子が立ち上がる。
モデルらしい長身としなやかな肢体。
ピンクのスーツが眩しいほど似合っていた。
「ふふっ、悪くないわね。このスーツ。撮影の仕事よりも完成度高いかも」
「さすがモデル様だな……」
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五人が見つめ合う。
その背中には、それぞれのロゴが輝いていた。
腰のバックルには、五色のガジェットが装着されている。
スマホからは再び、あの声が響く。
> 『リブート完了。ヒーロー起動、確認。ターゲット出現エリア:南公園。』
赤城は拳を握る。
「……ふざけた夢かと思った。でも、こうなったら——」
「“がち”で行くしかねぇだろ!」
五人の声が重なり、空へと響いた。
「リブート、GO!オン!!」
五色の光が再び爆ぜる。
風が巻き、マフラーがなびく。
——アラフォー戦隊、ガチレンジャー。
彼らの第二の青春が、今、動き出した。




