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第99話 リントの初めての防護服

「……チャット?」

突然、ステータスウィンドウの端に小さな通知が点滅した。普段はほとんど使わない機能だ。シアンは一瞬手を止め、慌てて内容を確認する。


《リントの防護服、完成したわよ! 早く来て見せなさいな! —ローザ》


「……マジか」

心臓が跳ねる。だが、平然を装いながら短く返した。

《了解。今から行く》


「シアン、なんか顔赤い」リントが首をかしげる。

「べ、別に……。ほら、行くぞ」




工房の扉を開けると、ローザが両手を広げて待っていた。

「あらぁ! よく来たわね。リントちゃん、さぁさぁ早く試着して見せてちょうだい!」

「えっ……もう?」リントが目を丸くする。

「当然よ! アタシが魂込めて作ったんだから!」


防護服は机の上に丁寧に畳まれていた。白銀の毛並みに映える柔らかな白布。丸耳を活かすフード付きで、胸元には小さな紋様が刺繍されている。軽装ながら、防御と俊敏を損なわない裁縫が施され、毒耐性を持つ特殊布も織り込まれていた。


「……すごい」シアンが思わず呟く。

「でしょ? 派手さとシンプルの絶妙なバランス! もう惚れ惚れしちゃうわぁ」


リントは着替えを終えると、恥ずかしそうに工房の中央に立った。

「ど、どう……?」

小さな手で裾をつまみ、耳をぺたりと伏せながら、視線を泳がせる。


「きゃーー! 完璧! モデルデビューおめでとう!」ローザが大げさに拍手した。

「リント……似合ってる」ロアスが短く言った。その表情は僅かに緩んでいる。

「すっごく似合ってるよ」シアンが笑い、頭を軽く撫でる。

「……ありがとう」リントは照れながらも小さな声でお礼を言った。


「うぅ……可愛すぎる……! アタシ、鼻血出そう!」ローザが大袈裟に額を押さえると、工房の空気は一気に笑いに包まれた。




「これでリントは守られる。シアン、安心したでしょ?」ローザが真顔に戻って問いかける。

「ああ……本当に、ありがとう」シアンは深く頭を下げた。

「やだ、そんな真剣に。……でも、あんたのそういうとこ、嫌いじゃないわ」


リントは鏡の前でくるりと一回転し、嬉しそうに尻尾を揺らした。

新しい防護服は、ただの装備以上の意味を持っていた。仲間の絆と、確かな守りの証。その輝きに、未来への希望が宿っていた。


ついにリントの防護服が完成し、ファッションショーのような試着回になりました! 照れるリントと、賑やかなローザ、そして穏やかなシアンとロアス……仲間らしさがますます強まってきましたね。

次回も18時更新です。

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ほっこりんと
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