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第94話 防護服を求めて

「リント……もう怪我なんてさせない」

マイホームの椅子に座り、眠る幼狼を膝に抱えたシアンは、強く言い聞かせるように呟いた。小さな体に残る包帯を見るたび、胸の奥が締めつけられる。


「……過保護になっているな」

隣に腰を下ろしたロアスがぼそりと口を開く。

「当たり前だ。リントは俺の仲間なんだ」

「だが、守りたいならやり方がある」

ロアスの声は低いが、確かに優しさがにじんでいた。

「防具を整えろ。それと……氷魔法で棘の壁を作れ。相手の侵入を拒む術だ」

「棘の壁……」

シアンは驚きつつも頷いた。守るために攻撃的な手段を取る。ロアスらしい発想だった。


膝の上で眠るリントは、安心しきった表情を浮かべている。その様子はどこか、母の腕に抱かれて眠る子どものようだった。




王都の大通りは活気にあふれていた。鎧屋や武具店を巡ったが、小さな幼獣に合う防具はどこにも置かれていなかった。

「サイズが合わないんだよな……」

「リントにピッタリのものが欲しい」

途方に暮れていると、賑やかな看板が目に入った。そこはプレイヤーが経営するショップだった。


扉を開けると、派手な衣装を身にまとった人物が現れる。

「アラ〜! 可愛い坊やを連れてるじゃないの!」

鮮やかなピンクのローブに濃い化粧、豪快な仕草。キャラの濃いオネエプレイヤーがシアンたちを出迎えた。

「ぼ、坊やって……!」シアンは思わず後ずさる。

「その子よ! 白銀の毛並みに、つぶらなお目目! あらやだ、抱きしめたいくらい可愛い〜!」

オネエはリントを抱っこしようと身を乗り出し、リントはきょとんとした顔をした後、「ルア……?」と小さく鳴いた。


「ちょっと、勝手に触るな!」シアンが慌てて止めると、オネエは手をぱちんと叩いた。

「ごめんなさいねぇ。でも、その子を守る防具を作らせて! 既製品じゃダメよ! あの子に似合うオーダーメイドを私に任せなさい!」

「オーダーメイド……?」

「えぇそうよ。素材も相談に乗るし、デザインだって可愛いのから格好いいのまで用意できるわ!」


リントが首をかしげてシアンを見上げる。

「シアン……ぼく、守ってもらえる?」

「……ああ。お前を守る防具を作ってもらおう」

シアンの答えに、リントは尻尾を振り、嬉しそうに笑った。


「決まりね! アタシが最高の防護服を仕立ててあげる!」

オネエの力強い宣言が、王都の店内に響いた。




こうして、リント専用の防護服作成が始まる。

シアンは改めて思った。――もう二度と、大切な仲間を無防備なまま戦わせはしない、と。


リントのための防護服作成が動き出しました。キャラ濃いオネエプレイヤーの登場で、一気に空気が賑やかになりましたね。果たしてどんな防具が仕上がるのか……!

次回も18時更新です。


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