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第57話 雪に囲まれた村で、まず一杯のスープから

寒さ厳しい雪国の村で、いよいよ本格的にイベントが始まります。何から手をつけるべきか――シアンが選んだのは「できることから」。

そんな第一歩を、ロアスとともに丁寧に進めていきます。


小さな村に、冷たい風が吹きつける。

 雪霜の村は、白銀の世界に包まれていた。


 「……よし、まずは料理クエストからやろう」


 ログハウス風の小屋を拠点に確保したシアンは、ロアスと向かい合って腰を下ろしていた。拠点内には簡易調理器具と、木製の小さなテーブルがひとつ。そこに今日の予定を並べていく。


 雪国イベントの特徴のひとつとして、「温かい料理」にまつわるサブクエストが多い。

 凍傷デバフを回避できたり、一定時間のHP自然回復が付与されるなど、バフ効果も期待できるのだ。


 「でも、まずは材料だな……」

 目の前のクエストリストに記されているのは、【雪イノシシの肉を使ったシチューの納品】。


 「お肉か。じゃあ狩りにいく?」


 ロアスが尻尾をふわりと揺らす。雪の中でもその白銀の体毛は溶けこむように美しく、寒さの影響はまるでない。


 「うん。行こう。ロアス、今日は頼りにしてるからね」


 小型ボス級の【雪イノシシ】は、村の外れの丘陵地帯に出現する。

 吹き溜まりに注意しながら森を抜けると、やがて音を立てて雪を踏みしめるイノシシの姿が見えた。


 シアンは静かに手を構える。包丁はいつでも抜けるように、腰のホルダーに収められている。

 氷魔法を左手に構え、ロアスとアイコンタクトを取る。


 「いくよ!」


 シアンが地を蹴り、正面から距離を詰める。

 雪イノシシは吠えたかと思うと、一直線に突進してきた。体術を駆使してギリギリで避けると、ロアスが横から飛びかかる。


 「氷撃ブリザードシュート!」


 足元を凍らせ、イノシシの動きを封じる。包丁の一撃が、鈍く胴を裂いた。ロアスも牙で仕留めるように噛みつき、ついに討伐完了。


 「解体……っと。ナイフの性能、見せてもらうよ」


 手に入れたばかりの解体用ナイフを抜き、慎重に肉を切り分けていく。

 《解体スキル:肉質上昇の効果・小》が発動。肉はしっとりと柔らかく、筋もほとんど残っていない。


 「……よし、これならいけそうだね」


 村へ戻ると、さっそく小屋の鍋に火を入れる。持参した調味料とともに、肉と根菜を煮込んでいく。

 雪国の露店で買ったハーブを刻み入れると、香りがふわりと立ち上った。


 「いただきます!」


 出来上がった雪イノシシのシチューを、まずは二人で味見。口に運んだ瞬間、画面に光が走った。


 《料理スキルLvが上昇しました》

 《バフ効果【冷気耐性(小)】付与料理が完成しました!》


 「やった……! バフ付き料理、できた……!」


 シアンは目を輝かせ、ロアスと目を合わせた。

 温かい湯気の中、村の寒さが少しだけ遠ざかった気がした。

料理クエスト、そして「バフ料理」完成となりました。

次回はさらにこの雪国のイベントで活かせるスキルや出会いが待っています。

次回は18時更新予定です。お楽しみに!


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