表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/101

第42話 噂の真ん中で、スープを煮込む

一躍、注目の的に――

それでもシアンの心は、静かなまま。


《ワールドアナウンス》

【氷魔法使い、テイマー職のプレイヤーが“始まりの草原”初級ボスを初撃破しました】

【対象プレイヤー名:シアン】


ログアウト中のプレイヤーたちをもざわつかせる文字列が、システム音と共に世界中へ流れた。

新規職、非戦闘系を含む構成――注目されるのは当然だった。


* * *


「……あー、出ちゃったか」


街の入り口に戻ったシアンは、うんざりしたように小さくため息をつく。

その横でロアスが「くぅん」と鳴いた。


「いや、君は悪くない。むしろ、よく頑張った」


プレイヤーたちが集う広場。ちらほらと視線がこちらを向く。

「氷魔法とテイマーって」「まさかの包丁?」「名前シアンだって」と、ヒソヒソ声が聞こえてきても――シアンは気にせずに歩く。


* * *


ギルドの扉を開けると、受付の女性NPCが微笑んだ。


「おかえりなさい。お一人で初級ボスを討伐されたとの報告、驚きましたよ」


「まあ……色々あってね。簡単なクエスト、何かある?」


「ちょうど良いものが。街外れの雑貨店へ届け物をお願いします」


クエスト名:【届けてポット】

内容:ギルドの備品を指定の雑貨店へ届ける

報酬:料理レシピ『野菜スープ』


「それでお願いします」


(料理レシピか……地味だけど、使えそうだ)


ロアスが受付カウンターに前脚をかけ、じっとレシピのアイコンを見つめる。


「お前も気になるのか?」


くぅん、と一鳴き。

――これだから可愛い。


報酬がささやかでも、こういう日常の積み重ねが、たぶん強さに繋がっていく。

そう思いながら、シアンは小さな届け物を手にギルドを後にした。


注目されても、騒がれても、やることは変わらない。

そんな“静かな強さ”が伝われば嬉しいです。

※毎日18時更新中。次回は、報酬レシピを活かしたお料理回かも?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ