第4話 静かな街と、最初の目的地
村から街へ。
ステータスウィンドウを使い、プレイヤーの書き込みスレッドを確認したシアンは、最初の行き先にギルドを選びます。
広場を出て、ゆっくりと街の中を歩き出す。
石畳を踏みしめる音だけが、自分の足元に響いていた。
街並みは、どこか中世ヨーロッパ風。
木と石で造られた建物が並び、赤茶の屋根瓦が続いている。
遠くには市場らしき賑わいが見え、近くでは子どもNPCたちが追いかけっこをしていた。
ゲームの中、という感覚は薄い。
“作られた世界”というより、“生活のある街”という印象が強い。
「……なんとなく、騒がしくない方に歩いてしまうな」
そうつぶやいて、路地裏の静かな通りに入ったところで、
ふと思い出してステータスウィンドウを開いた。
視界に浮かび上がった半透明のパネル。
ステータス、スキル、装備、フレンド登録、チャット、そして――スレッド。
プレイヤーたちの掲示板のようなもので、ログインしている全ユーザーが自由に書き込める。
【初心者さんへ:まずはギルドへ行くといい】
【生活職だけでもギルド登録できます】
【情報交換・依頼の受付・NPCとの関係解放など、全部ギルドから】
そんなスレッドがいくつか並んでいた。
「……なるほど。最初に行くなら、そこってわけか」
特に誰かと話す気はないけど、何も知らないままウロウロするよりはマシだろう。
パネルを閉じ、ギルドの場所を地図で確認。
目的地を“冒険者ギルド”に設定すると、道の端に小さな矢印が浮かび上がった。
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街の中心から少し離れた石造りの建物の前に、ギルドと書かれた木の看板が掲げられていた。
外観は思っていたより地味で実用的。
華やかさはないが、しっかりと“仕事を請け負う場所”という印象を受ける。
シアンは扉の前で少しだけ立ち止まり、目を伏せた。
「別に、誰かと組むわけじゃないけど……行ってみるくらいは、してもいいか」
手を伸ばし、ギルドの扉に静かに触れた。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
今回はプレイヤー掲示板やステータスウィンドウの機能を描きつつ、
初めての目的地としてギルドへ向かうまでを描きました。
次回はギルドでの手続きと、最初の依頼に触れていきます。お楽しみに!