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第26話 目立つ幻獣と、呼び止められた先で

ロアスと正式に契約を結んだ翌日。ギルドで依頼を受けるつもりだったけど、どうやら周囲の反応が予想以上に大きくて──?


朝の街は、陽光が白い石畳を柔らかく照らしていた。

昨日よりも少し軽い足取りで、シアンはロアスとともにギルドの扉をくぐる。


「……おっ、あの幻獣、見たか?」「氷属性っぽくない? すご……」


小声のつもりだろうが、プレイヤーたちの視線があからさまに刺さる。

冷たい目というわけではない。どちらかといえば、好奇の入り混じった、熱い視線だ。


ロアスはというと、そんな注目などまるで気にしない風で、シアンの後ろにぴたりと寄り添っていた。


(うーん……ちょっと、派手すぎるか?)


昨日から引き続き輝きを保っている“契約の結晶”が、背中のホルダーで淡く光っているせいもあるのかもしれない。


ギルドカウンターへと向かおうとしたその瞬間。


「──そちらの方。少々、よろしいでしょうか」


やや低めで落ち着いた声が背後からかけられた。


振り返ると、銀縁の眼鏡をかけた整った顔立ちの男性NPCがいた。

冒険者ギルドの制服ではない。だが、その胸元には「教官」のバッジが光っていた。


「幻獣と契約されている魔法使いの方ですね。ちょうど適任かと思いまして」

「適任……?」


「魔力操作スキルの伸び率が優秀な方に、実地訓練のご協力をお願いしておりまして。……ご興味はありますか?」


NPCなのに、そこに込められた熱意は妙にリアルだった。

それもそのはず──昨日のアップデートで、NPCにも「好感度」が設定され、個々の個性が強化されていたのだ。


シアンは少しだけ考えた後、うなずいた。


「わかりました。魔力操作、もっと使いこなしたかったところなんで」


教官NPCは微笑み、フィールド横の訓練場へと案内してくれた。


「それではまず、基本的な魔力の流し方から始めましょう」


掲げた手のひらに、淡く光る魔力の糸が浮かぶ。


──その練習の中で、シアンはふと気づく。

自分の中の魔力が、昨日よりもスムーズに流れていることに。


「もしかして……これ、ロアスと契約した影響?」


いつも無言でそばにいる相棒が、ほんのわずかに尻尾を揺らした。

プレイヤーの視線を浴びるって意外と大変。でも、だからこそNPCから声をかけられるイベントも起きて、新たな経験へとつながっていくよ。

次は、実戦で“魔力操作”を応用していくシーンへ──!

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