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蒼白のリヴァイアサン  作者: 黒木箱 末宝
真相開示編
21/33

フェイク・アクアリウム

「まったく……過去の事件がこうも尾びれを引っ張るとは……」


 VAIFONでエルセラリウムを受け取って帰宅する。室内に入り荷物を置くと、つい愚痴が溢れてしまった。何せ過去の誘拐監禁事件によって、エルセラリウムを含む異空間拡張機器類に規制が入ったからだ。その結果エルセラリウムを受け取るのに本人登録に始まる様々な契約を結ぶことになっていたのだ。


「ハー……さて……」


 無駄に体力を使ったが、遂に待ちわびたエルセラリウムを手に入れることが出来たのだ。異空間拡張機能を利用し望んだ世界を複製、様々な他星の生物を飼育し、共に泳ぐことができる夢のような製品、それがフェイク・アクアリウムだ。


「クククッ……では──」

「──報告。できるだけ速やかに本登録を済ませてください」

「…………ハ~~~~…………」


 リビングの空きスペースを見て、遂にここに夢が実現すると歓喜に震える。しかし、それを他でもない自分の端末に邪魔されてしまった。端末を見ると、止めてきたのは最新機種の方だ。確かに本登録は必須事項だが、この家には私と端末二機にハウスキーパーしか存在しない。


「いや、それは後だ」

「──しかし」

「いいからデータや権限の移行を始めろ」

「──了解しました」


 本登録などせずとも端末は使える。本登録などエルセラリウムを楽しんだ後でも問題ない。私の指示に従い機体同士を接続してデータのコピーや移行を始めた端末を横目に、私はエルセラリウムの説明ムービーを再生した。




「──ふむ、存外難しいものだな」

「──全てのデータのコピーと移行が完了しました。正しく機能を実行するために本人の許可が必要です」

「ああ、全て許可する」

「──全ての許可を取得しました。実行します」

「……ほう」


 エルセラリウムの説明ムービーを見終わり一息つくと、端末が家や家具との連携の為に許可を求めてきた。何時も通りに全ての許可を出す。淀み無く稼働する新しい端末を見て思わず息を溢してしまった。旧式とは違い物事の移行がスムーズで《《引っかかり》》も無い。やはり大容量を選択して正解だったか。


「これからエルセラリウムを楽しんでくる。旧式の方は来客などに対応しておけ。いいな?」

「──了解しました……」

「ふむ……まあ、いいか」


 新型を掴み下顎から喉袋へとしまい、早速とばかりにエルセラリウムを満喫しに行く。その際に旧式に指示を出したが、やはり反応が遅く返事にキレがない。事が終わったら飾りにでもしておくか。


 旧式の処遇を隅に置き、エルセラリウムを起動。エルセラリウムへと繋がるゲートへ飛び込んだ。




「……ほー……美しいな……」

「──海龍様の故郷である青い水の星【エルセラ】。その灰砂利世代の建造物や建築物を沈んだプラスアクアモデルです」

「しっているさ」


 端末の解説機能を聞き流しつつ、情景に感動して漂ってしまった。水は透き通った青色で清んでいる。目に油膜が張ることもなく、鰓に引っ掛かり一つ感じない。


「王族や他の貴族が()まり込む訳だ……」


 ネットスイム中で目にし、貴族連中処か王族まで楽しんでいると言うフェイク・アクアリウム。そこで一番有名な海龍の故郷である星──エルセラを海龍本人による発言から再現されたモデル・エルセラリウム。


「イベント発生を最優先事項に登録しろ。閲覧場所も最優の場所を選べ」

「──了解しました。生成生物のプリンター起動を最優先。その後、プリントアウトを最高の観覧箇所を検索します」

「やはり良いな」


 アバウトに言った事の最良を選択する新型端末に喜び逸る。検索中の端末をしまうと、私は本来の目的である《《海龍の故郷への密入星》》をするため海面へと泳ぐのであった。




 それが全てを失う愚かな行動とは、この時の私が知ることはなかった。

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