先生、ダイノスは魔獣に入りますか?
恐竜とファンタジー、うまく掛け合わせられるか心配です。
ルーカに案内され、畜舎にやってきた竜司は、目を潤ませながら輝かせていた。大小様々な恐竜たちが戦いの休息をとりながら、人間たちに世話をしてもらっている。かつて映画やテレビのCGでしか見たことのない本物の恐竜が数えきれないほどいるのだ。
「か、感動だ…ここは天国か?」
「大袈裟だって…あ、マルコさん。こんにちは」
「おっ、おつかれルーカちゃん。そっちの男は誰だい?見ない顔だね」
「今日からここで働くことになったリュージです。リュージ、この人がこの畜舎でブリーダーのリーダーをしているマルコさんだよ」
「おう、俺がマルコだ!」
そう言って親指を立てたのはマッチョでスキンヘッドの男、マルコ・イアンムス。今まで数々のダイノス達を手懐けてみせた腕利きのブリーダーで、畜舎の管理責任者でもあるのだ。
「はい!今日から働かせていただきます、リュージです!自分、きょ…ダイノスが大好きです!馬車馬のようにこき使ってください!」
「おっいいね!その気概気に入ったぜ!この仕事やめてく奴が多いから、お前みたいなのは大歓迎だ!」
「自分は絶対やめません!もうどんどんお仕事させてください!」
「いいねいいね、よろしく頼むぜリュージ!」
「はい、マルコさん!」
肩を組んで笑い合う男2人を見て、ルーカは遠目に見ながら若干引いていた。
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「とりあえず本格的なお仕事は明日からだよ。今日からはここで寝泊まりしてね。服は明日支給されるし、食事は食堂でとれるよ」
案内されたのは、畜舎から少し離れた寮の小部屋。小さいが机とベッドがあり、日当たりも良好だ。
「おっ、いい感じの部屋じゃん。趣があるって感じで」
「とりあえず、私も今日はこの後仕事もないし、ダイノスについて軽く教えとくね」
「はい先生!よろしくお願いします!」
「そのノリやめて」
ルーカが渡したのは、ダイノスの図鑑。ここで働く者達には1人1冊渡されるという。ただ、竜司は文字を読めないので、口頭で主要ないダイノスの名前だけ教えてもらいメモをとっておく。
そしてお次は生態について。
「いい?ダイノスは他の動物や魔獣と違って、特殊な生態を持っているの。それを利用して、私たちは彼らと共存してる。まぁ正確にはダイノスも魔獣なんだけどね?」
「魔獣…?」
「えっ、そこから!?」
曰く魔獣とは、普通の動物とは違い、特殊な能力や身体能力を持つ生物を出すらしく、人型に近いものもいるという。大まかな共通点として、体の中に魔石という核を持つらしい。
「そしてダイノスは普通の魔獣と違って、身体の一部の骨が魔石になっているの。だから他の魔獣より頭がいいし、能力も強い。私のトリケンのリックは雷の能力を持ってるから、普通の子より早く走れるんだ」
「なるほど…」
「大まかな属性は火、水、風、土、雷、草の6つ。中には光や闇の属性を持つ子もいるらしいけど、これは滅多にいない」
「なんだかゲームの属性みたいだな…」
「ゲーム?」
「ごめんこっちの話」
「ざっとこんな感じかな、わかった?」
「大体はね、あとは名前の違いを覚えるくらいかな。とりあえず、また畜舎に行ってみていい?」
「え、また?」
「やっぱり何度も見たくてさ!」
「あんた、ほんとにダイノス好きなんだね…」
「もちろん!」
そう言って畜舎に向かう竜司。そこで彼は、生涯のパートナーと出会うことになる…。
次回、ついに竜司に相棒が!?
お楽しみに。