ハロー、異世界。ハロー、恐竜。
それではみなさん、続きをどうぞ。
「え、君誰!?」
「え、君こそ誰!?」
「あ、初めまして。ルーカ・ドラピです」
「あ、ご丁寧にどうも。寺野 竜司です」
まさかの自己紹介。いくら初対面とはいえファーストコンタクトからは考えられない流れである。
「じゃなくて、なんで一般人がここにいるの!?この森魔獣がいっぱい出るんだよ!?」
「え、えと…目が覚めたらここに…」
「はぁ!?」
「い、いえ…とりあえず、この子退けてくれません!?」
「あ、ごめん。リック、どうどう」
そういうとルーカはリックと呼ばれたトリケラトプスを後ろによけ、そこから降りてきた。よく見るとリックの背中には馬のような鞍がついている。
その後、竜司は自分にあったことを素直に話した。
「それで、君は他の世界で死んで、目が覚めたらこの森にいたってこと?」
「そう、信じてもらえないと思うけど…」
「まぁね、正直頭でも打ったって言った方が説得力あるよ」
でも、と続けながらルーカは竜司の服を指差した。
「その縫い目のない綺麗な服。私の知ってる限りではそんな服も技術も見たことがない。少なくとも、私の国ではね」
「な、なるほど」
「それにこの森は魔獣がうじゃうじゃいて、普通の人間がいたらすぐに食べられてるよ。そもそもここにいること自体がおかしいの」
「まじか…」
その言葉に竜司の全身から一気に冷や汗が溢れた。普通ならそんなことあるはずがないと笑い飛ばしたいところだが、目の前のトリケラトプスと今の状況から考えると、妙な説得力が沸いていたのだ。
「とりあえず早くここからでましょ。いつまでもいたら危ないから」
「は、はい」
「ほら、乗って」
そういうとルーカはリックに先に乗り、竜司に手を伸ばした。
「え、まじか!本物のトリケラトプスに乗れるのか…!感激だ!」
「トリケ…?いいから早く!あとでやって!」
「は、はい!失礼します!」
ルーカの後ろに乗って腰に捕まると、ルーカは「リック、ゴー!」と呼びかけながら首元を手で叩いた。するとリックは後ろ足を数回蹴り上げると一気に走り出し、そのまま森を抜けた。その早さたるや車の比ではなく、竜司は感動と恐怖で震えまくっていた。
「す、すごい…!これがトリケラトプスの乗り心地…!」
「さっきからそのトリなんとかって何!?この子はトリケンだよ!?名前はリック!」
「え、いやその…俺の世界での名前で…!」
「へー、異世界だと名前違うのね!」
そんなことを話しながらしばらくすると、大きな城と街が見えてきた。
「さぁ、見えてきたよ!あそこが私の住んでる街、スルーサだよ!」
「おお〜!」
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「す、スッゲェ…!」
街に着くと、そこには竜司にとって楽園のような光景が広がっていた。
建物や洋服はいわゆる中世風で、馬や牛もいるが、その中に当たり前のように恐竜が一緒にいる。ラプトルが騎士を乗せて警備をし、トリケラトプスが荷物を運び、プテラノドンが鳥と一緒に空を飛ぶ。人と恐竜が当たり前のように共存していた。
「ほ、本当に今、異世界位にいるんだ…!」
「ふふ、そんなに面白い?とりあえず、まずは私の所属してる騎士団に行くよ」
「騎士団!?そこも恐竜いる!?」
「うん、いっぱいいるよ!」
**********
「とりあえず。君、逮捕ね」
「なんですとお!?」
竜司、騎士団本部にて、本日3回目の絶叫であった。
まさかの逮捕!?どうなるんでしょうか?
次回もお楽しみに。