第六回 18
賈蓉は笑いながら言った。
「寧国府のものなんてそんなに大したものじゃありませんよ。とにかく嬸子さまのお許しをもらえないと!」
熙鳳は言った。
「もし、ちょっとでも傷をつけてごらんなさい。ただじゃおかないわよ」
言い終わると平児に鍵をもってこさせ、選りすぐりの下人に炕屛を取りにいかせた。
「きちんと目を光らせておきますよ。うっかり傷をつけたりしないようにね」
と言うとすっと立ち上がり、出て行った。
だが、熙鳳はふと思い出したように、
「蓉ちゃん、戻ってきて!」
と窓の外に向けて言った。
外の下人たちも口をそろえて言う。
「蓉さますぐにお戻りを!」
賈蓉は急いで戻ってき、長い腕を垂らして熙鳳の次の言葉を待った。
熙鳳はいったん賈蓉を見つめ、お茶に口をつけ、しばらくぼんやりと考えていたが、
「もう、いいわ。いったん帰ってちょうだい。今はお客がいるし、私もちょっと疲れちゃった。晩ごはんのあとにまたお話ししましょう」
賈蓉はしばらく小首をかしげていたが、その美しい顔に笑いを浮かべ、
「はい」
と答えゆっくりと下がっていった。
劉ばあさんの心はようやく落ち着いてきていた。
そしてこれが最後だと肚を決める。
「今日、私があなたさまの甥御を連れてきましたのは、他でもありません。これの両親も、妹も、食べるものすら事欠くありさま。この寒い季節にどうしようもなくなり、お慈悲にすがって、あなたの甥とあなたさまの婆がやってきたところでございます」
さらに板児を押し出しながら言う。
「おまえときたら果物を食べることしか頭にないのかい。家でおまえの父親がどう教えたか思い出してごらん!」
周のおかみはさっと青ざめ、主人の顔を見たが、案に相違してにこやかに笑っていた。
「もう大丈夫。分かってますから」
それから周のおかみに尋ねた。
「このおばあさんたちは朝食をお済みなの?」
劉ばあさんは慌てて言った。
「こちらに着いてすぐ来ましたから、朝飯など食べておりません」
「そう」
熙鳳はいたずらっぽく笑うと、
「あなたたち二人でお越しになったの?」
「あとは父ちゃんと母ちゃんと青……」
劉ばあさんはそう言いかける板児の口を押さえ、
「いいえ。二人っきりでございます」
と叫んだ。




