第五回 13
一節歌い終わったところで宝玉の顔色をうかがうと警幻仙姑が言った。
「紅塵で言われる伝奇では、生・旦・浄・末・丑といった役柄の定めがあり、南北九宮の音調の限りがあります。ですが、この曲はただ誰かを詠じたり、何かについて感じたことが、たまたま一つの曲となり、そのまま管弦に乗せたものです。そのため、その道理を知らなければ、そこに含まれる妙味にはたどり着けないでしょう。もし、この曲をしっかりと味わいたいと思うなら、歌詞をまずきちんと読んで理解しないと、蝋を噛むようにつまらないことでしょうね」
そう言うと仙姑は小鬟に命じて「紅楼夢」の原稿を取ってこさせると、宝玉に渡すように命じた。
宝玉はそれを見ながら曲に耳をすませた。歌詞は次のようなものであった。
開闢鴻濛 誰か情の種たるを為さん
都て只だ風月の情濃き為に
この奈何たる天に趁いて、傷懐の日とせん
寂寥の時、試みに愚衷を遣わす。
此上に因り、この「金を懐い、玉を悼む」紅楼夢を演出せしなり。
修身誤
みな道う、「金玉良縁なり」と。
われはただ「木石前盟」を念うのみ。
空しく山中の高士晶瑩たる雪に対うも、
ついに忘れざるは、世外の仙姝寂寞たる林なり。
歎ず、人間、美の中に不足あること、今まさに信ず。
たとえ眉をそろえ案を挙ぐるも、
ついに意は平らかならず!
枉凝眉
一りは閬苑の仙葩、
一りは美玉無瑕。
もし奇縁無しといわば、今生偏にまた彼に遇えり。
もし奇縁ありといわば、如何ぞ心事ついに虚化せん?
一りは枉しく自ら嗟呀し、
一りは空しく労して牽掛す。
一りは水中の月、
一りは鏡中の花。
想うに眼中に幾ばくの涙珠あらん、
いかでか禁えん、秋より流れて冬に尽き、春より流れて夏に至るを。




