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紅楼夢  作者: 翡翠
第五回 賈宝玉 太虚境(たいきょきょう)に神遊(しんゆう)し 警幻仙(けいげんせん)紅楼夢(こうろうむ)を曲演(きょくえん)す
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第五回 9

 宝玉はやはり見ても分からなかった。そこで正冊を取り出してみると、最初の一頁には二本の枯木が描かれ、木には玉帯ぎょくたいが掛かっていた。地には雪が積もっていて、雪の中には金のかんざしうずもれている。

 また四行の詩に言うことには、


 たんし はたとどめしとく

 憐れむに堪えたり じょえいじしさい

 玉帯ぎょくたい林中りんちゅうかり、金簪きんしん雪裡せつりもる


 宝玉はそれを読んでもまだ分からず、仙姑に尋ねようとしたが天機てんきを漏らしてくれるべくもない。いっそのこと放り出してしまおうかと思ったが、それもできない。そこで続きを見ると、一張りの弓が描かれているだけで、弓の先にはいかにも酸っぱそうな香櫞こうえんがぶら下がっていた。

 その歌詞に言う。


 二十年来にじゅうねんらい 是非ぜひべん

 瑠花開りゅうかひらところ 宮闈きゅういらす

 三春さんしゅんいかおよばん初春しょしゅんけい

 虎兔こと 相逢あいあいて大夢たいむ


 裏にはたこあげをする二人、広大こうだいな海、大きな船、船上せんじょうで顔をおおって泣いている女性が描かれている。の裏には次の四句が書かれていた。


 さいおのずずから清明せいめい こころざしおのずからたかきも

 末世まっせに生まれ 運はひとえに消ゆ

 清明せいめい なみだもて送る江辺こうへんぼう

 千里せんり 東風とうふう 一夢いちむはるかなり


 その後ろのページには幾筋いくすじかの飛雲と一筋の流水りゅうすいが描かれ、そのことばには、


 富貴ふうき 又何為またなんすれぞ

 襁褓むつきかん 父母ふぼらる

 展眼てんがん斜暉しゃきとむら

 湘江しょうこう水逝みずゆ楚雲飛そうんと


その裏側うらがわには一塊ひとかたまり美玉びぎょくどろの中にしずんでいるかれ、その結論けつろんは、


きよからんとほっするもなんかつきよからん

くうなりと言うもいまかならずしもくうならず

あわれむべし金玉きんぎょくしつ

つい淖泥とうでいの中におちいれり


 その裏にはおそろしいおおかみが美しい女性を食らおうとしているが描かれており、その下の書きつけに言うことには、


 きみ中山ちゅうざんの狼にかか

 こころざしれば便すなわ猖狂しょうきょう

 金閨花柳きんけいかりゅうしつ

 一載いっさい黃粱こうりょうおもむ


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