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紅楼夢  作者: 翡翠
第十三回 秦可卿(しんかけい)、天香楼(てんこうろう)にて淫(いん)し喪(うしな)い、 王熙鳳(おうきほう)、寧国府(ねいこくふ)を協(とも)に理(おさ)む。
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第十三回 13

 熙鳳はあわててたずねた。

「おめでたいことっていうのはいったい何なの?」

 秦氏は言った。

――天機てんきは軽々しくらすものではありません。ただ、わたくしと嬸子おばさまはよきえんをいただきましたので、わかれにあたり二つの詩句しくおくりましょう。どうかゆめゆめおわすれなきよう。

 そう言うと、ひくとなえた。

――『三春さんしゅんりてのち諸芳尽しょほうつ

各自須かくじすべからく各自かくじもんたずぬべし』

「……二句にくですって? それにそれは……」

 なおいただそうとしたとき、もんの方から雲板うんぱんたたおとが四つ、雷鳴らいめいのようにひびいた。

 熙鳳はそれをめやらぬままに聞き、おもわずかおおおった。

東府とうふの蓉の奶奶わかおくさまくなられました!」

 熙鳳がそれを聞いたときには、すでに全身ぜんしん冷汗ひやあせをかいていた。熙鳳はしばらく呆然ぼうぜんとしていたが、

奶奶わかおくさま太太おくさまがおびです」

 はっ、とせなれるものをかんじ、くと、平児がうつむいたまま紫紺しこん衣服ふくらしていた。


 一門いちもんものはそのことを知ると、だれもがおどろき、ちない思いをかかえていた。

 年長ねんちょうものは、かの人の孝順こうじゅんさを思い、同輩どうはいの者はかの人のなごやかさとしたしみやすさを思い、年少ねんしょうの者はかの人の慈愛じあいを思った。家中かちゅう下僕げぼくですらも、かの人がまずしきをあわれみ、いやしきを見捨みすてず、いをいたわり、おさなききをあいしたそのおんを思いこし、声をあげて泣かぬ者はなかった。

★ ★ ★


情天じょうてん情海じょうかい幻情げんじょう

じょうすで相逢あいあえば、かならいんしゅとす。

みだりにうなかれ、不肖ふしょうみなえいよりずと、

きんたんひらくは、じつねいり。


(そのじょうてんより海に、まぼろしじょうまでも宿やどる。

じょうき合えばかならいんしょうず。

かる々しく言うでない。おろかさはすべて栄府より生じたなどと。

ことのはじまりは寧府より)


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